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向精神薬の長期処方
ゴールデンウィーク前の4月中旬は、いつも以上に薬が出ます。
医者も休みたいので、ゴールデンウィーク分の薬を先に
渡しておくわけですね。もちろん症状が安定している人だけですが。

2002年から、処方日数制限は原則廃止になり、
それまで30日分しか出せなかった高血圧薬とかも日数無制限で
処方することが可能になりました。

しかし、麻薬・向精神薬と発売1年以内の新薬に関しては、従来通り
投与制限がかけられています。基本的には

 ●睡眠薬:14日分
 ●抗不安薬:30日分
 ●抗てんかん薬:90日分
 ●麻薬・新薬:14日分

 
といったかんじですね。

(古い情報なので更新しておきます。
2016年10月現在、14日までしか投与できない向精神薬は
イソミタール末
サノレックス錠
ソセゴン(ペルタゾン・ペンタジン)錠
バルビタール末
メンドンカプセル
ラボナ錠
ノルスパンテープ
セニラン坐剤
ダイアップ坐剤
レペタン坐剤
ワコビタール(ルピアール)坐剤
のみとなっており、他は30日、抗てんかん薬は90日の投与が可能です。
デパス・アモバンは2016/11/1より30日の投与制限となります。
リスミーやルネスタなど、向精神薬指定でない薬は投与制限がありません)


しかし、ゴールデンウィークや盆・正月など、医療機関が長期休暇を
取ってしまうと、これでは不都合が生じてしまいます。
あるいは患者の仕事の都合上、とても2週間ごとには通院できないと
いうこともあるでしょう。

そこで、上記の投与制限を回避するために、色々と裏技が生まれました。
いくつかの例をざっと紹介してみます。



 1.コメント付加
   医療機関の長期休暇や長期の海外旅行など、物理的に通院が不可能な
   場合、「年末のため」「海外長期旅行のため」等とコメントを添える
   ことで、レセプトの審査を通すことが出来ます。
   
   最も正統的な裏技です。今の時期はこれが一番多いですね。
   弱点は、長期休暇はゴールデンウィークと年末にしか存在しないこと
   (盆は認められません)です。海外旅行はいつでも使えそうですが、
   多用すると県によっては厳しく審査されるため、やりたがらない
   医療機関も多いです。
   
 2.倍量処方
   「1日1錠28日分」を「1日2錠14日分」に書き換えることで、
   実質28日分とするテクニックです。ややこしいのになると
   「1日1.5錠14日分」で実質21日分とする、なんてのもあります。
   
   睡眠薬を多用する精神科では、半ば常套的に使われる裏技です。
   他の薬が28日分で睡眠薬が2錠14日分とかだったら、
   倍量処方であることがバレバレですが、本当に1回2錠飲まねばならない
   可能性もあるので、審査しづらいようです。
   
   ただ、睡眠薬はたいてい投与上限量なんてのがあり、その量を
   こえると審査が降りない事もあります。
   また、袋には1回2錠と印刷されるので、本当に2錠飲んでしまったりする
   危険もあります。説明したり袋を修正したりと、薬局にしわ寄せが来ます。
   
 3.頓服による追加
   「1日1錠14日分」と「頓服不眠時 14回分」を併記することで、
   実質28日分とするテクニックです。頓服は内服薬と別扱いになるため、
   レセプト審査も通しやすくなります。
   
   倍量処方と違い、投与上限のある薬にも適用できる裏技です。
   ただ、県によっては「頓服の回数は10回分まで」と制限している
   事もあり、倍量処方ほど頻繁には使われません。
   薬局の手間が増えるのは、倍量処方と同じです。
   
 4.長期処方可能な向精神薬に変更
   たとえばベンザリンやセルシンなどは、てんかんへの適応もあるので、
   90日分の処方が可能です。デパスやアモバンはそもそも向精神薬の
   扱いではないため、処方制限がありません。
   これらの薬であれば、上記の裏技に頼ることも無くなります。
   
   しかし、これらの薬が合わない場合はどうしようもないです。
   また、向精神薬が氾濫するのを憂慮する、職業意識の高い医師で
   あれば、これらの薬でもあえて他の薬と同じ日数しか出しません。
   
 5.二枚切り
   同じ内容の処方箋を、日付だけ替えて2枚発行する技です。
   上記と違い、レセプト審査上の無理はありません。
   とても医療倫理に乗っ取った行為ではありませんが。
   
   それに、未来の日付の処方箋が市中に流れる危険性を考えると、
   かなり無理のある技です。よほど医師と患者と薬局が
   懇意な状態でなければ不可能だと思います。
   
 6.自費
   上記の技を使わなければならないのは、健康保険を使おうとするからで、
   全額を自分で支払うというなら話は別です。自費診療なら医師の意思
   (…つまらん)通りに薬が出せます。
   
   診察料なども含めて全て自費なので、通常より遙かに高くなります。
   ただ気の利いた医療機関なら、超過分の日数だけを別の自費処方箋として
   作成してくれます。向精神薬は大抵、かなり安目の薬なので
   目の玉が飛び出るような金額にはならないと思います。
   無論、向精神薬を自費で出すという行為に抵抗感のある医師の方が
   圧倒的に多いので、滅多に出来る行為ではないです。
   
これは医療機関側の技であり、患者側であれば診療所掛け持ち・個人輸入・
ブラック(ryなど色々語るところもあるでしょうね。

ただ、向精神薬の処方日数制限は、欧米のドラッグ蔓延が社会問題化した事の
反省から生まれたものです。このような裏技を使って制限をくぐり抜けるのが
良いことなのかどうか、私にはよく分かりません。

依存性の弱い、メラトニン刺激型のロゼレムが日本に出てくれば、
こういった事情はまた変わるかもしれませんね。
向精神薬の長期処方_f0133373_22254261.jpg

by haya by hayanoya | 2007-04-06 22:28 | クスリあれこれ
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