以前の記事
2018年 04月 2017年 11月 2017年 05月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 10月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 01月 2015年 09月 more... タグ
ちびまる向ちゃん(100)
クスリあれこれ(39) 薬剤師(11) 薬の擬人化(9) 漫画(6) 頂き物(5) アモバン(3) リボトリール(3) ロヒプノール(3) パキシル(3) エビリファイ(2) マイスリー(2) エバミール(2) ルネスタ(2) Sonata(2) ジェイゾロフト(2) デパス(2) ラミクタール(1) ドラール(1) ドグマチール(1) ライフログ
検索
お気に入りブログ
Favorite Link
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
精神科薬では比較的珍しい合剤。
規格はA錠およびB錠。 中身はクロルプロマジンとプロメタジンと フェノバルビタール。その配合量は、 A錠が 25mg/12.5mg/40mg で、 B錠が 12.5mg/12.5mg/30mg。 愛称は「げた美」。 その強烈な効能から、薬ミシュランなどで 「飲む拘束衣」と紹介されています。 なのでげた美にも 拘束衣を着せてみました。 精神科の急性病棟でおなじみのアレです。 当然クチにもギャグボール。ベゲA錠を模したやつ。ゴム製。 誰か商品化してください。 拘束衣だと動きづらいのでインラインスケートで移動します。 薬剤性パーキンソニズムっぽい? ヘルメットはA錠とB錠の色から。096はA錠の番号。 白地に紺のラインが塩野義カラー。赤と緑はA錠とB錠の象徴です。 彼女がこういう衣装なのは別に虐待でも罰ゲームでもなく、 単にそう言うファッションが好きなだけです。 みっしりと締め付けられることが好きなようです。 でも日本伝統の縄縛りは嫌いだとのこと。 その成分から、抗精神病薬クラス(Sクラス)への編入も 検討されましたが、クロルプロマジン量の少なさと バルビツレートの血を引いていることから、その他クラス (Cクラス)に編入されました。 睡眠薬クラス(Bクラス)でないのは、他のベンゾジアゼピン類と 格が違うためです。 げた美はもともと、学園の生徒ではありません。その力を見込まれ、 学園創設時に学園の戦力として招集されたのです。Cクラスは そういった、前ベンゾジアゼピン時代の化物どもの巣窟なのです。 同じCクラスのバルビツレートである、らぼ菜やいそみと仲が いいようですが、その二人が二級種なのに対し自分一人が三級種で あることに、結構コンプレックスを抱いているようです。 学園からは三級種、つまり扱いやすい薬と見なされているのです。 バルビツレート類のげた美にとって、それは屈辱に近く、 絶えず拘束衣を着て自らの危険度をアピールしているのは、 そこら辺も原因の一つだったりしてます。 ベンゾジアゼピン系でありながら二級種指定されたろひのに対し かなりのライバル心を持っています。 ろひのが二級種指定されたのは、遊び好きだったためなんですが。 当然、ろひのとしてはそんなことに全く関心がないので、げた美の 思いは空回りに終わることが多いです。 自分の睡眠構築力に絶大な自信を抱いていますが、彼女の力は 睡眠と言うよりも麻酔に近く、学園の評価は余り高くありません。 プライドが高い割に打たれ弱く、すぐ激高して暴走する彼女の 性格もまた、教授陣に悪印象を与えています。 でもその一方で、彼女の拘束が無いと落ち着かないという マゾユーザーが一定層おり、意外と学園外では人気が高いです。 そんなニーズをみっしりと満たすべく、彼女は今日も インラインスケートで爆走するのです。 ベゲタミンの名称はVeget(植物)から来ています。ベジタブルの Vegetです。人工的に植物人間にするという意味を持つ、 もう名前からして明らかに尋常ではない薬ですね。 …というのは冗談で、自律神経系(植物神経)に作用する薬 と言う意味を込めて付けられたものと思われます。 ウインタミン、ヒルナミン、ニューレプチル、ノバミン、 ピレチア、ベンザリン、レスミット、スルモンチールなど、 精神科領域の薬をいくつも販売し、日本の精神医療に 多大な貢献を果たしている塩野義製薬ですが、 その販売品目のほとんどは海外からライセンスをもらった物です。 自社開発された精神科薬で現在生き残っているのは、実に ベゲタミンとリスミーしか無いんですよね。 奇しくも最強と最弱の睡眠薬だけです。これも面白いですね。 ベゲタミンの生まれは1957年、広島静養院という精神病院の 院長であった松岡龍三郎先生の発案で誕生しました。 まだベンゾジアゼピンという名が、世に知られてない時代の薬です。 現代では最も古典的な抗精神病薬である、クロルプロマジンの 有効性が認められ始めたのが1952年。モノアミン仮説を含め、 精神薬理学なんて大層な代物はなく、精神科の治療と言えば 身体療法とロボトミー手術が主流だった時代。 身体療法とは、体にショックを与えることで精神を治療する療法を 言います。マラリアに感染させたり、低血糖状態にしたり、痙攣を 故意に引き起こしたりと、結構乱暴な治療が多かったようです。 現在唯一生き残ってるのは電気ショック療法で、これは割と効果が 認められ、機械の発達もあって今でも重要な療法になっています。 その身体療法の一つに、持続睡眠療法というのがあります。 トリオナールやスルフォナールなど、20世紀初頭に発見された催眠 効果の高い物質を使い、1日12~18時間寝る生活を3週間ほど続ける ことで、躁鬱病を治そうという療法でした。 ベゲタミンはもともと、クロルプロマジン大量投与による治療の 最終段階、クロルプロマジンを減量したときに現れる不安や不眠を 緩和する目的で作られましたが、松岡先生はこれを持続睡眠療法に 用いるつもりだったようです。 そして1959年、スルフォナールに替わる新しい持続睡眠療法の 候補薬として、ベゲタミンを日本精神神経学会で発表しました。 スルフォナールは脳機能を遮断するために、中毒性があり危険だが、 ベゲタミンは体機能を遮断するので安全性が高い、という論文です。 この論文の中でベゲタミンは「間脳安定調整剤」という名称を 付けられています。間脳にある自律神経中枢と睡眠中枢を 調節するという意味です。クロルプロマジンが交感神経中枢を抑制し、 プロメタジンが副交感神経中枢を抑制し、フェノバルビタールが 睡眠調節中枢を抑制すると考えておられたようです。 精神薬理学の隆盛な現在では、この解釈は通らないでしょう。 クロルプロマジンは主にドパミンD2受容体の遮断、 プロメタジンは主にヒスタミンH1受容体の遮断、 フェノバルビタールはGABA受容体の機能促進に働きます。 そもそも自律神経中枢は間脳ではなく延髄です。 三種類とも自律神経に働く薬ではないですし。 まぁ結果論的には、3種の薬物はそれぞれ異なる部分に働くので シナジー効果で強力な鎮静作用を得られます。今なおこの薬が 生き残っているのは、この絶妙な配合のおかげでしょう。 ベゲタミンが世に出たのとほとんど同時期、抗鬱薬の元祖である イミプラミンが華々しくデビューしました。以後、躁鬱病の 第一選択は三環系抗鬱薬となり、持続睡眠療法は急速に廃れました。 こうして、ベゲタミンが精神医療の主流になる道は閉ざされました。 国外への販売も叶わず、日本でのみ使われることになりました。 しかしその強力な睡眠鎮静効果により、精神科専門の睡眠薬および 安定剤として生き延びることができたのです。 安定剤としての適応を取得しているので、これだけ強力な睡眠剤 にも関わらず、30日処方が可能です。 ライバルのロヒプノールに対するアドバンテージです。 しかし統合失調症に使用するならともかく、鬱病や神経症患者に 対しては明らかにオーバースペックです。安全性の面では ロヒプノールに、相当水を空けられています。 また、フェノバルビタールの厄介な副作用の一つ、酵素誘導により 肝臓の薬物分解能力が上がってしまい、連用によってベゲタミン 自身ばかりか他の薬物の治療効果まで妨害してしまいます。 このため、統合失調症治療においても最近敬遠されつつあります。 そもそも、薬物療法における精神科医の役割とは、患者の主張や 表情、身体症状などを総合的に判断し、多種多様な薬の中から 薬理学的プロフィールや自分自身の経験則を加味して その患者に最も適切な処方を探り出す事にあります。 だからこそ、抗精神病薬ひとつとってもあれだけ種類があるのです。 曖昧で、誇張され、時に詐称すら入る患者の主張を解釈すること。 その作業はまさに、暗闇の中を手探りで模索するが如し。 そういう繊細な判断が要求される世界に、3つの成分が混じった 薬物など邪魔なだけです。ましてやその一つが、もはや古典的な 存在でしかないバルビツレートとあってはなおさらです。 リタリンと同じく、この薬も苦肉の策としての存在です。 他の薬物もろくろく試さずいきなりこれを30日処方する医師は まぁヤブ認定されても仕方ないでしょう。 ちなみに、AもBも包装が500錠単位しかなく、箱が大きいので 薬剤師には嫌われる薬です。引き出しに入らねぇんだよ。 まさに男を振り回すわがままボディって感じですね!(意味不明 |