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向精神薬擬人化その29:パキシル
冬コミに伴う混乱でDクラス編生産ラインが大幅に乱れております(汗
せっかくヴァルキュリア3と俺妹ポータブルが届いたのにやる暇がねぇ!
ていうかまだタクティクスも終わってねぇ!(泣

…と愚痴っていても夏に間に合わないので、ちまちまと更新していきます。
ルボックスより2ヶ月遅れですが、SSRIのド本命、パキシル様です。
向精神薬占いで「あなたはパキシルです」と言われてから早4年。
まさかこいつを擬人化する日がやって来るとは思ってませんでした。

多分日本で一番知名度の高い抗うつ薬であるにも関わらず、何故か
あまり擬人化されない不人気薬。好きな人と嫌いな人が極端に分かれ、
ニュースでは必ず悪役に仕立てられる不遇な子。

f0133373_16241440.jpg一般名はパロキセチン。
規格は5mg・10mg・20mg。
愛称は「ぱきる」。
(椎名へきるっぽいアクセントで)

服装は特に決まったコンセプトを
持ってません。強いて言うなら
風紀委員長のイメージ?ボブカット+
赤チェック+黒ストは私の趣味です。
配色は頭に10mg・体に20mgのPTPカラー。

パキシルと言えば「シャンビリ」。耳鳴りと電撃は必須かと思い、頭に
鈴、右手にナックル型スタンガンを装備させています。地味で大人しそうな
デザインながら、険のある目つきで存在感をアピールしてます。

薬の擬人化には無数のパターンが存在しますが、それでもある程度の
共通認識というものがあります。ドグマチールは巨乳。デパスは妹キャラ。
ではパキシルは?…そう、「ツンデレ」です。それもツン(デレ)ではなく、
初期型のツン→デレタイプ。服用し始めは吐き気などを引き起こして体に
順応するのを拒み、症状が良くなってきてやめようとするとシャンビリを
起こして引き留める。これをツンデレと言わずして何という!
ツンデレ大好きの日本で大ヒットしたのも、当然と言えるでしょう(嘘

北欧はデンマーク生まれだが、実家が潰れて英国ビーチャム家の養女となる。
英国式のハウスルールになじめず、一時は放逐されかけたが、持ち前の努力と
根性で礼儀作法を身につけ、ビーチャム家の隆盛と共に、秘蔵の才媛として
頭角を現していく。米国に留学中、米国人ローザ・リリーが小説、
「Listening to Rosa」にて大ブレイクしたことに対抗心を燃やし、
「Sugar Sweet, Razor Imps.」を刊行。これもまた世界中でヒットし、
ローザとぱきるは一躍、文学界の寵児となる。

その頃学園では、Dクラスを創設して愛を招聘するも目立った業績を残せず、
早くもDクラス廃止の声が挙がっていた。焦った学長は新たな才能を探すべく
文系分野に目を向け、人気の高い「S.S.R.I.」を読んでいたく感動する。
急遽ぱきるを来日させるべく行政に働きかけ、Dクラス2番目の期待の
ホープとして学園に登録することに成功する。

ちゃらんぽらんな性格の愛と違い、生真面目な性格のぱきるは学長の期待に
応えるべく努力を重ね、ついにDクラスを「抗うつ薬部門」として確立できる
だけの業績を積み立てる。これにより学園は衆目に広く認知され、胡散臭い
オカルト集団としてではなく科学的見地に立った学問の府として厚労省内の
立場を確立したのである。学長はぱきるに頭が上がらず、非公認ではあるが
学園生徒会長的な立場を与えられている。

Dクラスの委員長であるが、人に命令するのは苦手。というより、割と
口下手なので意志を苦労して伝えるくらいなら自分で行動する方が早いと
思っている。成績は優秀だがそれは弛まぬ勤勉の成果であり、天才型では
ない。解決できないことがあると後回しにすることが出来ず、他の案件が
遅滞してでもそれに固執してしまう。あまり上に立つには向いてない。

生徒会長的な立場に立たされているので、他のクラスの被験生たちを
強制的に使役できる学長代行権限「コマンダーシップ2D6」を施行する
ことが出来る。サイコロを二つ振って、出た目の数だけ彼女の命令を
聞かなければならない鬼ルール。普段はそんなに無茶苦茶な事をしないが、
機嫌が悪いときは12以上の命令を要求されることもある。
この権限のおかげで、他のクラスの猛者からも恐れられている。

クールな外見と生真面目な行動で取っつきは悪いが、孤高が好きなわけでは
無い。人付き合いは苦手だが寂しがりという面倒くさい性格。自分から話し
かけるのは億劫なので、ぐいぐいと突っ込んでくる人を待っている。
Dクラスではぞふぃーや愛がそういうタイプ。一旦仲良くなると、結構
甲斐甲斐しく尽くす。ただ嫉妬心も強く、彼女らが他の子と長いこと
しゃべっているだけで一日中不機嫌になる。

厳しい家庭に育ったせいで、下品なジョークに全く免疫がない。ぞふぃーも
愛も下ネタが大好きなのだが、ぱきるの前でそれを披露して電撃をしこたま
喰らわされた事がある。彼女が怒るとまず頭に付いてる鈴が鳴り始めるので、
最近はそれを察知して逃げ出すようになった。



日本において、パキシルは2000年11月に認可されました。発売は同じ2000年、
スミスクライン・ビーチャム社とグラクソウェルカム社の合併により、世界
最大の製薬企業(当時)となったグラクソ・スミスクライン社によって行われました。
2000年当時はプロザック・ゾロフト・パキシルというSSRI御三家が隆盛を
極めていた時代であり、その一角がようやく日本で発売されるという事実は
業界をおおいに盛り上げました。21世紀の日本におけるうつ病治療の
新時代は、パキシルによって築かれたと言っても過言ではありません。

パキシルの主成分パロキセチンは、1978年にデンマークのフェロザン社にて
セロトニントランスポーター阻害薬を探る一連の研究から発見されました。
実は1975年に、パロキセチンの前身であるフェモキセチンが発見されており、
パロキセチンと同等以上のセロトニントランスポーター阻害作用を持って
いました。フェロザン社はどちらかといえばこっちの方に期待しており、
パロキセチンは持続性がある以外、フェモキセチンに及ばないと思われて
いたため、1980年に英国ビーチャム社に売却されてしまいました。
しかしフェロザン社は後にノボノルディスク社に吸収され、肝心の
フェモキセチンはろくに開発されないまま見捨てられてしまいました。

ビーチャム社の中でもパロキセチンは「三環系より安全性は高いが効果に
劣る」と認識されており、あまり熱心に開発されていませんでした。
そのため早い段階で発見されながら、パロキセチンの市場デビューは
ルボックスやプロザックに大きく後れを取ることになります。軽んじていた
これらの薬が、主に米国において非常に好感触であることにビーチャムの
研究員は驚き、ようやく91年に英国でセロキサット、93年に米国でパキシル
の名で発売されました。その前の89年にビーチャム社はスミスクライン&
フレンチ社と合併してスミスクライン・ビーチャム社となっており、
英国有数の製薬企業に成長していました。初動の遅れを取り戻すために、
同社は世界に向けてパキシルの強烈なアピールをします。

「パキシルは選択的セロトニン再取り込み阻害薬、すなわちSSRIである!」

そう、実はSSRIという名を最初に使ったのはパキシルなのです。その
フレーズの新鮮さ、クリーンさは絶大なものがありました。セロトニン
セレクティブ!余計な受容体にくっつかないシンプルな作用!これぞ現代
精神薬理研究の結晶!その響きに魅了された精神科医は数多く、パキシルは
大ブレイクし、広告戦略は見事に成功しました。このためライバルである
プロザックやゾロフトでさえ、このSSRIの名を冠するようになったのです。

日本では意外と早い段階から、パロキセチンの導入を考えていました。
1985年、日本のサンスター社はビーチャム社に打診し、第Ⅰ相臨床試験を
開始しています。しかし当時は肝心のビーチャム社が本気ではなく、この
試験は半ばで放置されてしまいます。90年代に入ってSSRIが本格的に
世界で使われ始めると、日本でもそれを望む声が増え、パロキセチンは
92年に再び第Ⅰ相試験からやり直す事になりました。85年の段階で試験を
放棄していなければ、少なくともパキシルの国内販売を5年は早められ、
SSRI後進国の汚名を受けることは無かったと言われています。

日本での臨床試験において、トラゾドン・アミトリプチリンと抗うつ効果を
比較し、アミトリプチリンには及ばずながらトラゾドンに勝る治療実績と
高い安全性を示しました。更に当時注目されていた疾患であるパニック障害の
治療において優れた治療成績を示したことから、日本初のパニック障害に
適応を持つ抗うつ薬として認可されたのです。

ルボックスと比較すると、パキシルの抗うつ効果は投与初期からかなり
ハッキリ現れるようです。これはパキシルがSSRIの中でも最もセロトニン
トランスポーターへの結合性が強いことに起因しており、ルボックスや
ジェイゾロフトに比してパキシルの力価が高いことの説明にもなっています。
それにパキシルは投与量を2倍に増やすと、その血中濃度が4倍になることが
知られています。パキシルは主に肝代謝酵素の一種、CYP2D6によって
分解されますが、そのCYP2D6の働きをパキシル自身が阻害してしまいます。
これによりパキシルは分解されにくく、血中濃度が非線形に上昇して
見かけの投与量以上の働きをするのです。

またSSRIとはいいながら、パキシルはノルアドレナリントランスポーター
への結合性も結構高く、その意味ではSNRI的な性格も持つと言えるでしょう。
似たような時期に発売され、SNRIと当初はもてはやされたトレドミンが
イマイチぱっとしなかったのも、パキシルがその大体の出番を喰って
しまったのが原因にあったかもしれません。さらに弱い抗コリン作用を
持っており、これがSSRIの中でも比較的抗不安作用が強い要因の一つに
なっているとされています。

それだけの強い効果を持ちながら、パキシルは三環系抗うつ薬のように
アドレナリン受容体やセロトニン受容体への結合性を示しません。これは
心毒性がほとんど無いことを意味しています。三環系抗うつ薬は大量服用
するとすぐに心臓を痛めるので、オーバードーズの恐れのある外来患者に
多量に薬を渡すことが出来ませんでした。パキシルならば1ヶ月分を
まとめて服用されても致命的な状態にはなりません。従って長期投与が
可能となり、何かと忙しい現代人が仕事しながら心療内科に通う、という
現代スタイルが出来ました。SSRIが登場してからうつの患者はむしろ増大
している、という批判が度々取り上げられますが、精神科の垣根を低くし、
うつ病という病状を広く人口に膾炙させ、誰もが気楽にメンタルケアを
受けられるようになった風潮を作り出した事は、パキシルの大きな功績と
言えるのではないかと思います。

パキシルが発売されて6年間、新規の抗うつ薬は日本に登場せず、市場は
パキシルの独壇場となり、年間500億を売り上げるまでに成長しました。
これは概算で抗うつ薬市場の1/4に匹敵します。またグラクソ社の売り込みも
積極的で、2006年には強迫性障害、2009年には社会不安障害への適応を
取得し、新規抗うつ薬の中でも最も治療スペクトルの広い薬であることを
アピールしました。ユーザー数は鰻登りに増え、あまり抗うつ薬に知識の
ない内科などでも普通に処方される薬となりました。そしてその爆発的な
売れ行きと共に、パキシルの影の部分も大きくクローズアップされることに
なったのです。

パキシルの副作用、殊に服用中止時の離脱症状の激しさは、他のSSRIと
較べても有意に強いと言われています。パキシルの半減期は約15時間で
類似薬のジェイゾロフトと較べると短く、プロザックのように分解されても
効果の続く活性代謝物を持たず、また前述の通り自身の分解を自身で防ぐ
薬なので、服用をやめると血中濃度は一気に下がります。この極端な
濃度減少がシナプス間隙のセロトニン量の急速な減少を引き起こすため、
頭痛・めまい・倦怠感・知覚異常などのセロトニン系副作用が発生しやすい
のです。とりわけ知覚異常は特徴的な副作用で、頭を振った際に出る
金属音のような耳鳴りと、感電したときのようなしびれが出るため、
俗に「シャンビリ」と呼ばれて恐れられています。

シャンビリは断薬が急すぎる、ハードランディングな中断が主な原因と
言われていますが、パキシルは長らく10mg・20mgの2種類しか剤型が無く、
ソフトランディングが難しい薬でした。半分に分割しようにもパキシルには
割線が入っておらず、キレイに半分に割るには非常に難しい形をしています。
グラクソはこの問題を10年間放置していましたが、あまりに苦情が多かった
ためか、2010年9月になってようやく5mg錠を発売しました。この剤型は
世界中でも日本唯一のもので、未だパキシル特許の切れていない日本だから
こそコストをかけるに値した、と判断したのでしょう。そろそろ特許が
切れそうだし、新規抗うつ薬の競合品が揃ってきたから切り替えられない
ために作りました、という考えが見え透いています。グラクソのこの
計算高い商売戦略は、さすが外資と言わざるを得ません。商品開発力は
非常に高いメーカーですが、イマイチ私はこの会社を信用できないです(笑

5mg錠は断薬時に使用するようグラクソは説明していますが、パキシルは
服用開始時も血中濃度が急激に上がりやすいので、これに起因した副作用、
すなわち吐き気や下痢などの消化器症状を予防する意味でも、投与初期から
5mgで開始する方がいいように思います。この5mg錠の発売により、パキシル
はようやく細かい調節が可能になります。英国での発売から20年も経過して
日本だけがまともな運用を行えるなら、SSRI後進国も悪くはないですね。

パキシルはまた酵素の阻害作用を持ちます。CYP2D6は肝代謝酵素の一種で、
パキシル以外にも様々な薬の分解に関与しています。そのためパキシルは
ルボックスと並んで相互作用に気をつける必要があります。もう一つ、
一酸化窒素(NO)の合成酵素を阻害する作用があり、男女ともに性機能を
減退させるといわれています。抗うつ薬はどれもその傾向がありますが、
パキシルはそれが比較的強く現れるようです。

もう一つ、パキシルの急速なセロトニンレベル上昇に伴う弊害として
賦活症候群が上げられます。自殺する気力が無かった人が、それを得て
自殺に至る…もちろん抗うつ薬全体に言える話ですが、特にパキシルは
強いセロトニンレベル上昇効果を持つため、「死にたい」と考えている
人に投与するのは文字通りの自殺効果です。パキシルを投与するためには
こういう人を除外する必要がありますが、そこまで注意を払っていない
医師も多く、パキシルの処方量増大と共にこの問題も表面化しました。

一時期18歳未満への処方が禁忌になったことがありましたが、色々と
反発があったようで、今は慎重投与という書き方にとどまっています。
余談ですが、PSPのゲーム「セカンドノベル」にて、あるキャラクタの
自殺に新薬が関わっていたという下りがあるのですが、その新薬の絵が
どうみてもパキシル10mgに見えてワロタ…という思い出があります。

プロザックやゾロフトが入ってこない日本市場で、パキシルは孤軍奮闘を
強いられました。その結果として今の売り上げがあるのですが、
精神科の門戸を広げるという重責は、他のSSRIと分かち合うべきだった
かと思います。パキシルは優れた薬ですが、不相応に売れすぎ、
働かなくていいところまで働かされた印象があります。
過剰な期待とバッシングを一身に受けてしまったこの薬、嫌いな人は多い
ですが、不器用なりに良くやったんじゃないか…と私は思います。
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by haya by hayanoya | 2011-01-30 16:31 | ちびまる向ちゃんトピ
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