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向精神薬擬人化その30:ジェイゾロフト
キャラ作成強化月間中。まどマギ6話でテンションが上がりました!
この作品のテーマは、「契約書を読まずに契約するな」ってことですね(違
薬局ではインフルエンザが猛威を奮っておりますが私は元気です。
すげぇぜイナビル!

主役クラスのSSRIをこう簡単に連続リリースしていて大丈夫か?と
思ったりするんですが、主役は何回も描かないといけないから
簡単な服装にさせたいという政治的圧力が働いております(ヲイ
というわけでジェイゾロフトさんです。擬人化率はパキシルより低い…。

向精神薬擬人化その30:ジェイゾロフト_f0133373_17223227.jpg一般名はセルトラリン。
規格は25mg・50mg。
愛称は「ぞふぃー」。
ドイツ系アメリカ人。
創業者のファイザーさんも
ドイツ移民だったそうです。

お嬢様キャラを…と考えた割に
地味な服装。文句はジェイゾの
パッケージとPTPシートに言って
ください。擬人化しづらいんだよ!

頭に載ってるのはジェイゾのパッケージに描いてあるヒマワリだか
ヒナギクだかのマークです。別にインディアンとは関係ないです。
お嬢様と言えばゆるふわカール!(意味不明)…にしたかったんですが、
なんかべざり先生が髪を下ろしただけにも見えてきますね。
前髪の触角二本で、ファイザーの「P」マークを再現しております。

他家との統合を繰り返し、世界一の資産家になる前からファイザー家に
生まれていた正当な実子で、すなわち筋金入りのお嬢様。養女である
らなやしおんとは序列も扱いも全く違う。首からぶら下げてるのは
ファイザー刻印入りプラチナネックレス。らなも似たようなのを
付けてますが、あれはファイザーマークが入っていないパチ物。
本物はぞふぃーしか付けられません。ボーンウィズ格差!

ファイザーパパの溺愛っぷりも半端ではありません。冷徹な商人の
姿は娘の前ではカケラも見せず、彼女が何かのコンクールに出場する
たびに、金の力にモノを言わせて優勝させまくってます。
おかげで競争というものを知らないおっとり娘に育ってしまいました。

ファイザーパパのゴリ押しで「SinkiLow」という小説を刊行。特に目立った
面白さがあったわけではないが、ファイザー家のお抱え学者たちによって
「政治的暗喩が巧みだ!」と絶賛され、全米でミリオンセラーとなる。
この報道に見事に騙された学園は、ぱきるの入学手続きと同時に
ぞふぃーの学園誘致をファイザーパパに打診したのであった。

ところが、形式だけでも入学試験を受けさせようとした時点で
ファイザーパパが激怒。「ウチの娘を招待したくせに、テストさせるとは
何事だ!」との一喝で、学園とファイザー家の仲は険悪になった。
ぞふぃー誘致はご破算になりかけたが、「名前を書いたら合格にさせます
から!」と学長側の懇願によって何とか入園が決定する。

しかしこの顛末は学園中に知れ渡ることになり、試験官たちの心証は著しく
悪くなった。露骨な嫌がらせこそしなかったが、彼らは表に裏にぱきるを
持ち上げることで、ぞふぃーの地位を相対的に落としたのである。
従ってほとんど年齢に違いはないにも関わらず、ぱきるとぞふぃーの
学内権力はかなり異なる。しかしぞふぃーの能力は贔屓目を抜きにしても
決してぱきるに劣るものではなく、最近では評価が改められつつある。

およそお金に困ったことなど無く、金を積めば何でも解決できると思って
いる。ナチュラルに傲慢。物腰は柔らかく、雰囲気は柔和で上品なので
第一印象は決して悪くないのだが、話の最中でつい地が出てしまう。
苦労して成り上がったぱきるにとってはたまにイラッとくる相手。とはいえ
生徒会長扱いで友達の少ないぱきるに気後れせず対等に接してくれるので、
あまり無碍に扱うこともできない様子。

争いごとを好まない、というより争いが何故起こるのか理解できないという。
しかし彼女の言動に悪気が無いのはみんな理解しているし、普通に優秀な
魔法力を持っているので、周囲の人間関係はさほど悪くない。というより
何かあるとファイザーパパが黒塗りの車を抱えて乗り込んでくるので、
うかつにいじったりできない恐怖心が、みんなの心の根源にあるようだ。



最初に断っておくと、ジェイゾロフトはいい薬です。トータルバランスでは
ルボックスやパキシルより優れていると言ってもいいかと思います。
しかし、薬の効果以上にファイザーの政治力が露骨なために、却って
過小評価されているという珍しい薬です。世界で毎年3000億円を売り上げた
化け物SSRIが、何故日本ではパキシルにダブルスコアで負けてるのか、
その歴史を探ってみたいと思います。

1970年代、ファイザーは当時の潮流に漏れず、様々な受容体に作用する
「汚い」抗うつ薬から進化した、クリーンな抗うつ薬の開発に没頭して
いました。ファイザーの研究員は、かつての自社製品である抗うつ・抗不安
効果を持つ抗精神病薬チオチキセン(和名ナーベン、現在製造中止)に注目し、
チオキサンチン系化合物を研究していく過程で、ノルアドレナリン
再取り込み阻害薬であるタメトラリンを開発しました。タメトラリンは
ノルアドレナリンと弱いドパミントランスポーター阻害作用を持つ、今風に
言えばNDRIでした。新規の抗うつ薬として期待されていましたが、
動物実験で予期せぬ副作用が出たため開発中止となってしまいました。

数年後の1977年、様々なトランスポーター阻害薬を研究していた薬理学者
ケネス・コーがタメトラリンに興味を持ちました。彼はタメトラリンの
誘導体を作っていたウィラード・ウェルチと協力し、一度は破綻した
タメトラリン誘導体の研究に再び着手したのです。そして驚くべき事に、
タメトラリンのノルアドレナリン系への影響を見る際、不要な不純物として
切り捨てていたタメトラリン光学異性体の派生物に、セロトニントランス
ポーター阻害作用があることが判明したのです。この物質はセルトラリンと
名付けられ、後にゾロフトとして発売されました。後にSSRI三本柱として
新時代を築いたセルトラリンは、ノルアドレナリン研究から生まれたのです。

とはいえ、セルトラリンはなかなか市場に出ませんでした。当時抗うつ薬の
研究は欧州と米国で異なっており、欧州ではセロトニン系の賦活が、
米国ではノルアドレナリン系の賦活が抗うつ効果に有効であると考えられて
いました。ファイザーは米国の企業ですので、ノルアドレナリン系を
賦活させる薬を探っていました。セロトニン系の薬である上に一度失敗した
タメトラリンの系譜であるセルトラリンは、あまり熱心に開発されたとは
言い難いです。

ところが1980年代後半にルボックス、プロザックといったSSRIが相次いで
発売され、爆発的な人気を得ているのをみて驚き、急遽セルトラリンの
開発を進めました。ここらはパキシルと同じ轍を踏んでます。
結局、セルトラリンが米国デビューしたのは1992年になってからでした。
製品名はゾロフト。Zo(心を)Loft(持ち上げる)というラテン語からとられて
います。シンプルながら響きも良く、抗うつ薬としても良い名だと思います。

本気で薬を売り出す決心をしたファイザーの行動力はすさまじく、まさに
メガファーマの名に恥じぬ資本力と行動力を示しました。プロザックよりも
半減期が短く、パキシルよりも相互作用が少ない。ゾロフトは最も安全な
SSRIである!と強調し、さらに多くの開業医にうつ病についての知識を
啓発し、その開業医が持つうつ病患者に対してゾロフトを第一選択に使う
よう誘導する。沢山の大規模臨床試験を開くことで、うつだけでなく
パニック・社会不安・強迫・PTSD・月経前不快気分障害と、あらゆる
気分障害に対して適応を取りまくる。たとえ臨床試験で不利な結果が出ても、
それを繰り返すことで有利な結果が出るまで粘る事が出来るのは、
まさしく豊富な体力を有するファイザーならではの力業と言えます。

この結果、ゾロフトは先行するプロザックを凌ぎ、パキシルの猛追を
かわし、ついに全米トップシェアを獲得するに至りました。2000年代には
年間で約3000万枚の処方箋が発行され、毎年30億ドル以上の売り上げを
ファイザーにもたらしました。2006年に特許が切れて米国での売り上げが
急落したものの、ファイザーの躍進を支えたドル箱の1つとして十分な
貢献をしたといえるでしょう。

そんな有名な薬が日本に入ってこないわけもなく、当然ながら国内での
臨床試験は進められていました。開始は1991年で、大体パキシルと
同じ頃に始まったみたいです。そして1997年に終わったのですが、これが
とんでもない結果を出してしまいました。日本での抗うつ薬比較試験は
当時アミトリプチリンとトラゾドンで行われていたのですが、ゾロフトは
アミトリプチリンに負け、トラゾドンに対しても劣っていないことを証明
出来なかったのです。これは最大用量設定を75mgにしたことが一因と
言われており、現在日本での最大用量は100mgになっています。

このままではゾロフトの日本導入は頓挫してしまうと考えたファイザーは、
ゾロフトの持つうつ病再燃防止効果に目をつけ、比較対照にプラセボを
用いた「ランダム化治療中止試験」を行いました。これは8週間目までは
ゾロフトで治療を行い、その後をプラセボとゾロフトで振り分け、うつが
悪化した時点で投薬を中止するという試験です。2005年に行ったこの試験で
何とか基準をクリアし、ゾロフトは晴れて日本での製造許可が下りました。
当然商品名はゾロフトにしたかったはずですが、日本には既にアロフトと
いう筋弛緩薬が存在しており、名前の混同を避ける為にJapanのJを付けて
ジェイゾロフトという名前で発売されました。

ところがこの顛末に対し、開業医を中心とした協会である「日本精神
神経科診療所協会」、通称日精診が反発しました。今まで日本において、
プラセボ対照試験だけで認められた抗うつ薬など存在しないのです。
また肝心のランダム化治療中止試験も、ジェイゾロフトで一定の効果が
見られた患者のみを対象とした甘い試験であり、そんなのでよいなら
ルボックスだってベンゾジアゼピンだってうつ病再燃防止を唱えられる!
こんなあやふやな試験結果で、パキシルと同じ薬価をつけるとは何事だ!
というような内容の抗議書をファイザーに送りつけ、新聞記事に
までなりました。ファイザーはこの抗議に対し的確な返答を行うことが
できず、結局薬価は変わらないまま、「うつの再発防止効果云々~」と
いう文言は削除されて販売は続けられました。

この態度は日精診を激怒させ、ジェイゾロフトは販売当初から第一印象が
極めて良くない薬となりました。既にパキシルが十分に浸透していた事も
あり、ジェイゾロフトは米国の華々しい実績を持ちながら、発売翌年も
年間100億円以下という地味な販売結果に終わっています。

しかしパキシルがかなりピーキーな薬であり、ジェイゾロフトが思ったより
効き目の強い薬であることがだんだんと理解されてくるにつれ、その
処方量はゆっくりと増えていき、今では200億くらいに育っています。
パキシルのジェネリックが出て、米国のように様々な不安障害に対して
適応が獲得できれば、シェアの逆転も夢ではないかもしれませんね。

パキシルに較べれば多少劣りますが、ジェイゾロフトもかなりタイトに
セロトニントランスポーターに結合します。ただノルアドレナリンの
トランスポーターへの結合力はパキシルの1/10、ドパミントランスポーター
への結合力はパキシルの10倍です。多少誇張して言えば、SDRI的な性格を
持つと言えます。ドパミン系への賦活効果を期待し、NDRIであるウェル
ブトリンとの併用が米国で行われており、"Well-loft療法"と呼ばれています。
またルボックスと同様に、σ受容体への刺激作用を持つとされています。
これは強迫レベルの強い不安に対するジェイゾロフトの有効性を示唆して
います。

ジェイゾロフトの半減期は24時間ほどあり、ルボックスやパキシルに
較べると長いです。このゆっくりとした消失により、離脱症状は
比較的起こりにくいとされています。さらに肝臓の代謝酵素の働きを
阻害しないので、薬物の相互作用を考慮する必要もありません。

パキシルが持つような抗コリン作用が無いので、便秘は起こりにくく、
むしろ下痢を催す方向に働きます。それと関連性があるか分かりませんが、
この手の薬には珍しい、体重減少の副作用が報告されています。
性機能の減退も起こりにくく、非常に現代人向けの薬と言えそうです。

もちろんファイザーの積極的な売り込みがあってこそゾロフトは爆発的に
売れたのですが、そうでなくても現場の評価は結構高いです。
朝日にも載ったランセットのメタアナリシスでは、新規抗うつ薬中
効果で4位、認容性で1位、総合2位という好成績を残しました。
認容性1位とはつまり最も副作用の少ない薬であるという事であり、
抗うつ薬の第一選択の候補として、多くの場合相応しいものであると
思います。それだけに、日本導入時のゴタゴタは勿体なかったですね。

日精診の主張は十分理解できるものですし、実際ジェイゾロフトの承認
データは不十分だと思うのですが、もしこれで承認が降りなければ
日本は今以上にパキシル大国になり、離脱症状に苦しむ患者が更に増えた
かも知れません。つくづく向精神薬の臨床試験は難しいですね。

最近はうつ病のプラセボに対する反応性が極端に高まり、中には
60%を超える寛解率を示したものもあったとのこと。非定型うつ病が
それだけ増えたという事なのでしょうか?
おかげで新薬の開発は難航しっぱなしです。いっそ「プラセボ」という
名の新薬を売り出してみてはどうでしょうか?万病に効く霊薬!
実績は過去の膨大な臨床試験で証明済み!薬価は6円程度でお願いします。
by haya by hayanoya | 2011-02-11 17:48 | ちびまる向ちゃんトピ
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