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向精神薬擬人化その31:トレドミン
キャラ強化月間中に…とおもったらもう3月orz
今月はペリアークの発売を心の支えにして生きてゆきます。
ということで今回は第三世代抗うつ薬一地味な薬、トレドミンで。
私の調べる限り、トレドミンの擬人化は皆無。錠剤可愛いのに…。
向精神薬擬人化その31:トレドミン_f0133373_19245391.jpg
一般名はミルナシプラン。
規格は12.5・15・25・50mgと、
抗うつ薬でも最多を誇る。
愛称は「とと美」。

旭化成のストライプ入りパッケージが
とてもジャージっぽく見えるので、
トレドミンという薬の垢抜けなさも
合わせて、芋ジャーダサ娘系で
まとめてみました。

ヤンセン系のパッケージだとスタイリッシュすぎるので、ここはあえての
旭化成押しw 頭にもαの髪飾りです。

配色は15mgPTPシート+50mgパッケージ。トレドミン15mgのPTPシートは
抗うつ薬屈指の可愛らしさと思うんですがどうでしょうか?
この絵では分かりませんが、ジャージの背面にはピエール・ファーブルの
企業ロゴが入っております。おさげに隠れてほとんど見えませんが。
手に持ってるのはホメオパシスト御用達のレメディです(笑

フランス人だが、南仏の田舎町カストル出身なのでファッションセンス
とか全然無い。父親のピエール・ファーブルさんは薬剤師かつ資生堂の
化粧品をこよなく愛するオシャレ男子なのだが、その血は娘に
受け継がれなかった様子。でも肌のきめは非常に細かく、密かに同僚に
羨ましがられている。磨けば光る逸材である。

トレドミンは水溶性が非常に高いので、赤面症かつ汗っかきという設定に
してみました(汗 水を飲むのが大好き。水からの伝言だって聞けるぜ!
そのせいなのかサイエントロジスト薬剤師な父親の影響なのか、化学物質の
妖精のくせにホメオパシーに傾倒している。将来は看護師を目指している
らしいが、この奇癖のせいで苦労することになりそう。

フランスでピエールさんと一緒にレメディを売り歩いていた頃、ボルドー
ワインでしこたま酔っぱらっていた東洋醸造さんにレスキューレメディを
飲ませて介抱してしまう。醸造さんの酔眼には彼女が女神に見えたようで、
日本デビューを強く勧められる。ちょうど資生堂の化粧品にハマっていた
ピエールさんの口添えもあり、彼女の学園登録は非常にスムーズに進んだ。
Dクラス創設当時で、愛の招致がどうも失敗臭いと感じた学園側は次の
目玉を欲しており、ちょっと特殊な魔力を持つとと美を強烈に押してくる
醸造さんのアピールを信じ込んでしまう。こうして、Dクラスはまたも
世界的に微妙な被験生を迎え入れてしまったのである。

酔いが冷めた醸造さんは、実は彼女がそんな大した存在じゃあ無いんじゃ
ないかとうすうす気がついていたが、素直に日本行きを喜んでいる彼女を
見ていると、今更とてもそんな事は言い出せない。
ごまかすために缶チューハイを浴びるように飲み続け、金が無くなって
とと美共々知り合いの旭おじさんの所に居候するようになった。
責任感の強い旭おじさんは醸造さんの酔狂に辛抱強く付き合い、とと美の
入学費用を支払うことを決意する。晴れて学園の華、Dクラスへの在籍を
許されたとと美だったが、そのすぐ後に入学してきた才媛・ぱきるの
圧倒的存在感に、彼女の自信はすっかり喪失するのであった。

その後もぞふぃーやれめる、さいん達の入学の都度片隅に追いやられ、
「窓際のとっとちゃん」と教官達に揶揄されていたが、最近になって
意外と対疼痛魔法の力が強い事が判明し、看護方面への転身を勧められて
いる。一筋の光明が差したかに見えたが、この分野には天才というべき
Eクラスのりかが存在するので、今度は彼女へのコンプレックスに悩む事に
なるのである。

クラスメイトが大企業の令嬢ばかりであるため、自分の出自と能力に対して
強い劣等感を抱いている。小動物系。立ち位置はりすみと似ているが、
結構したたかな性格のりすみに較べると打たれ弱い。ジャージのおかげ(?)
で足は速いため、言葉に詰まるとすぐに逃げ出す。そのひ弱な性格を治す
ためにますますレメディーに頼るのだが、今のところ効果は出てない様子。

同じSNRIであるせいか、さいんに対して特に恐怖感を抱いており、その
一挙一動におびえている。来日したばかりのさいんは友達を欲しており、
しきりにとと美に構うのだが、打ち解けられるのは当分先になりそう。
今のところまともに会話出来ているのは、姉御肌の愛くらいである。



トレドミンの発売は2000年で、ルボックス発売の翌年に当たります。
ルボックス発売当時は「SSRIで抗うつ薬の新時代」と騒がれていたのに
次の年にもうSNRIが発売されるなんて凄ェ!と当時の私は思ってました。
ルボックスもトレドミンも、世界の主流から外れている薬だと知ったのは
当分先のことだったわけですが…。

トレドミンの主成分であるミルナシプランは1987年、フランスの製薬企業
ピエール・ファーブル・メディカメン社によって作られました。

フランスの製薬企業といえば米ファイザー、英グラクソ・スミスクラインに
ならぶガリバー企業であるサノフィ・アベンティスが有名ですが、この
次の企業となるとぐっと売り上げランクが下がります。仏国二番手は
新鋭の抗うつ薬ヴァルドキサンを擁する天才集団セルビエ社であり、
三番手にピエール・ファーブルが入ります。どちらも創設者が100%の
株式を保有する家族経営企業なので、日本にはあまりなじみが無いですね。

ピエール・ファーブル社はどちらかと言えば化粧品で有名なメーカーで、
欧州一の実績を誇ります。日本でも資生堂との合弁会社であるピエール・
ファーブル・ジャポンを設立し、アベンヌというブランドを確立してます。
またもう一つの事業の柱としてホメオパシーがあり、この分野で世界第2位の
シェアを築いています。医療統計学の結晶である医薬品事業と、ほとんど
オマジナイに等しいホメオパシー事業を両立させている非常にユニークな
会社と言えるでしょう。武田がエレキバンを発売するみたいな感じかな?
良くも悪しくも欧州の伝統を守ってる会社といえるかもしれません。

そういう所からミルナシプランという、既存の系のどれにも似ていない
薬が出てきたのは面白いですね。ルボックスやパキシルもそうですが、
新世代の抗うつ薬は欧州の中小企業が開発し、ロシュやチバガイギー、
ローヌ・プーランなどの既存ジャイアント向精神薬企業をキリングしてるのが
興味深いです。まぁたいてい一発屋で終わるんですが…。

ミルナシプランは当時の欧州で臨床試験を繰り返し、三環系と互角かつ
SSRIには勝るという心強い成績を残し、1997年にフランスよりイクセルと
いう名で発売されます。ところが米国では93年にワイスよりエフェクサーと
いう化け物SNRI(ちなみにSNRIという名称もエフェクサーが使い始めた)が
FDAで承認されており、SSRIと熾烈なシェア争いを繰り広げている最中で、
フランスの二流企業が作った薬に興味は示されませんでした。他の先進国も
同様で、イギリス・ドイツ・イタリアなどでも採用は見送られています。

唯一の例外が日本です。日本ではミルナシプランが発見された1987年には
既に東洋醸造(現旭化成)が日本での開発・発売をピエール・ファーブル社に
打診しています。そしてフランス発売のわずか3年後に日本発売。ドラッグ・
ラグってなんスか?と言わんばかりのスピード承認でした。エフェクサーが
95年にようやく国内開発を開始し、結局臨床試験に失敗して導入不可能に
なったのとは好対照と言えます。ミルナシプランの国内試験は
ミアンセリン・イミプラミンとの同等性試験で、ミアンセリンとは同等以上、
イミプラミンとは同等性不明だが忍容性に優れるという結果を残しています。

タイミングと運が良かったというのもあると思いますが、トレドミンの国内
試験に用いたのは50mg~150mgで、これは大体のミルナシプラン承認国と同じ
用量です。ジェイゾロフトもサインバルタも用量設定を少なくしすぎて
失敗している中、ここまで用量を上げられたのはトレドミンの語源でも
ある"Tolerance is Dominant(忍容性に優れている)"故かもしれません。
しかし、この副作用が少ないアピールのせいで後に面倒がおこります…。

2008年2月、トレドミンは6年間の市販後再審査を終了しました。そこで
厚労省より駄目出しを食らったのです。トレドミンは元々、抗うつ効果を
検証する臨床試験でイミプラミンに対する同等性を証明すること
が出来なかった代わりに、イミプラミンよりも安全であるとアピールして
製造承認を申請しています。厚労省は製造を承認する条件として、「6年間
用量と効果の相関関係を高齢者も含めて調査し、レポートにまとめて提出
すること」を旭化成に要求したのです。ある意味、スピード申請承認の
代償と言えるかもしれません。このレポートを提出した結果、「初期用量は
25mgでええんちゃう?50mgだと副作用増えるだけやん」という結論が下され、
初期量を50mgから25mg、最高量100mgに訂正するよう求められました。

このため、旭化成は従来の15mg・25mgに加えて、12.5mgと50mgの剤型を
用意しなければならなくなったのです。錠剤の剤型が4規格もある薬は
向精神薬分野においてセレネース・ウインタミンしか存在しません。
この二大抗精神病薬に肩を並べるなんて、トレドミン様はやっぱり凄い
薬なのだなー(棒 最初に15mgと25mgなんて中途半端な剤型を作るからこんな
羽目になるんだよFuck!半端に開封した12.5mgの薬代払え!(心の叫び

他のSNRI、サインバルタとエフェクサーに較べると、トレドミンはやや
特殊なSNRIです。普通はセロトニントランスポーターの阻害力の方が強い
のですが、トレドミンはノルアドレナリントランスポーター阻害が優位に
働いています。この特殊性は効果にも現れており、トレドミンの効果発現は
1週間程度と抗うつ薬の中ではかなり早い方で、アモキサンやレメロンに
匹敵します。ノルアドレナリンを熾火、セロトニンを薪と考えると、
薪を沢山集めて火を熾すのがエフェクサーとサインバルタ、最初に火を強く
して薪を集めてくるのがトレドミンと言ったところでしょうか。

しかし薪が少ないと火は燃え広がりません。トレドミンのセロトニン
トランスポーター結合力は他のSSRIやSNRIに較べると非常に弱く、
抗うつ作用の決定力に欠けてます。従って「効果がボンヤリしている」
「切れ味に欠ける」などと評価されてます。細かい早上がりが得意な
だけではなかなかトップを取れない、麻雀にも通じるところがありますね。

トレドミン発売当時は「横(スペクトル)のSSRI、縦(うつ治療効果)のSNRI」
等と言われたものですが、トレドミンの治療効果がイマイチ微妙であることが
知られるにつれ、SNRIへの期待もだんだんとしぼんでしまいました。世界で
言うSNRIとはほとんどエフェクサーの事であって、トレドミンでは無いの
ですが、この微妙っぷりがサインバルタの認可の遅れ、エフェクサーの不認可
に繋がってしまったのではないかと邪推してしまいます。

薬物動態に視点を移してみると、これはルボックスやパキシルなどの
肝代謝機能に影響を及ぼす「行儀の悪い」薬よりも遙かに使いやすい事が
分かっています。トレドミンは水溶性が非常に強く、ミルナシプランの
結晶粉末を湿度の高い場所に放置すると潮解してしまうくらいです。
このため肝代謝酵素に頼ることなくグルクロン酸にくるまれてほとんど
未変化体のまま腎排泄されます。半減期も8時間程度で体に残りにくく、
血中濃度が上がりすぎないため副作用も起こりにくいです。トレドミン
単体だとセロトニン系の賦活が弱いので、まさにルボックスやパキシルと
併用するために作られたかのような薬です。

とはいえノルアドレナリン優位のSNRIなので、少ないとは言え副作用が
無いわけではありません。アドレナリン系の優位はアセチルコリン系の
働きを封じるため、抗コリン作用が無い割にその手の副作用が出やすいです。
具体的には口渇・嘔吐・便秘・排尿障害など。サインバルタほど強く出る
わけではないですが、服用初期から高用量を用いるのは避けた方が無難です。

余談ですがトレドミン発売当初、吸湿性が高いと言うことでバラ錠が
発売されず、入院患者薬の一包化を作る際にはいちいちPTP包装をばらす
必要がありました。錠剤が小さい上にPTPが頑丈で、親指の爪を剥がしかけた
記憶が何度もあります(泣 表面のフィルムコートのおかげで、粉砕しない
限り湿気は問題ないということで、最近はバラ包装も発売されている
みたいです…半年認可を遅らせて、それを確認してから発売して欲しかった…。

長らく主要先進国で使われてなかったトレドミンですが、SNRIは疼痛に
効果的、という論文が増えてきたおかげで、ようやく2009年に米国デビュー
を果たしました。…抗うつ薬としてではなく疼痛治療薬としてですが。
線維筋痛症という、特に血液検査に異常がないのに全身に激しい痛みが
おきるという病気の治療に使われるようになりました。サインバルタも
同様の適応を持っていますが、トレドミンは副作用が少なく効果も抜けも早い分
使いやすく、より有用かもしれません。もっとも神経痛の第一選択は
リリカなので、サインバルタ同様脇役的扱いではあります。

先進諸国でほとんど使われなかったことが幸いし、トレドミンの薬価は
新規抗うつ薬の中では最も安いです。服用最大量が100mgなので、50mg2錠と
して133円!パキシル40mgが403円、サインバルタ60mgが461円、デプロメール
ですら150mgで204円なのに較べて、お得感が半端無いですね。もしピエール
でなくサノフィ・アベンティスから発売されてれば、100mg400円を切る事は
無かったと思います。…まぁトレドミンだけで治療が完結するケースは
あまり無かったりするんですが。

ピエール社と旭化成の弱い政治力タッグは後発品の出現にも影響しています。
日本では2000年に発売されたにも関わらず、わずか8年後にジェネリックを
作られてしまいました。デプロメールより後に発売したのに、デプロメール
より先にジェネリックが出来たわけです。アステラスや第一三共が発売して
いれば、適応追加やOD錠の作成、製剤特許侵害でジェネリック会社に訴訟を
起こすなどあらゆる方法で寿命を延ばし、最低でも10年はジェネリックを
作らせなかったでしょう。それが正しいのかどうかは別として。

現在の売り上げは旭化成で60、ヤンセンで30くらいで、大体年間90億くらい
だと言われています。ベンゾジや三環系に較べれば十分売れてる方ですが、
新規抗うつ薬にしては今ひとつ淋しい実績と言えるかも知れません。薬価が
十分下がり既にジェネリックも発売され、旭化成自身が金のかかる新薬開発
からジェネリック事業にシフトしている現状、トレドミンが米国のように
疼痛治療薬として再び脚光を浴びる可能性はあまり高くなさそうです。
シクロプロパン系抗うつ薬という、構造式も作用特性も非常に個性的な薬
なので、出来ればトレドミンの発展系を見てみたい気はするのですが、
一系統一薬剤で完結してしまいそうで、ちょっと残念です。
by haya by hayanoya | 2011-03-05 19:54 | ちびまる向ちゃんトピ
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