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向精神薬擬人化その36:リーマス
怒濤のインフルラッシュがようやく一段落してきたので、ぼちぼち
来年末に向けて更新していきたいと思いました。
もういやがる幼女の口に無理やり苦いモノをくわえさせる仕事は嫌だお…
(ヒント:イ○○ル)

今度の本は双極なので、双極と言ったらばもうこの薬抜きには語れません。
妄想パラノイアの天狗の鼻をへし折らせたら天下一!てか薬じゃないよね?
これ金属片だよね?何で効くのか分からないなりに使われ続けて幾星霜。
未だに謎多き原子番号3番、リーマス嬢でございます! カ~~~ッ(ギロ音)

しかしリチウムの擬人化はいっぱい見るけどリーマスの擬人化は全然無いな。
f0133373_14474259.jpg
一般名は炭酸リチウム。
規格は100/200mg
愛称は「毬(まり)」でいいや。

金属なので何処にでも存在する。
従って国籍不明。
あまり地域色のでない
SFチックなボディスーツに
してみました。

髪の色は200mgPTP、服の配色は200mgパッケージから。
全くひねってないので、見る人が見れば一発で気づく…はず。
右手にはめてる某パワーグ○ーブっぽいものはリチウムの
血中濃度モニタリング装置です。右上腕から採血してモニターしてます。

左手に付けてるのはリーマス錠が封入されたリチウムイオンバッテリー。
毬さんはここからリチウムを体内に取り入れ、髪に巻き付けてる
バッテリーニードルを他人に突き刺してリチウムを放出するんだ!凄い迷惑。

電池交換だけで生きていけるのだが、それじゃ物足りないのか左手に持ってる
セブンアップをいつも愛飲している。もちろんクエン酸リチウム入りの初代。
とっくに製造中止になってるはずなのに、どこから入手しているのかは謎。

スーツはタウリンを1000mg配合し、リチウムイオン伝導率を極限まで高めた
超イオン伝導体で構成されており、大正が開発したため鷲のマークが
記入されている。このスーツにより毬は100%のバイオアベイラビリティを
発揮し、いかなる時もファイト一発のかけ声一つで窮地を脱出できるのだ!

元々ギリシャのエフェソスで泉の女神を生業としており、泉に落っこちた
汚いジャイアンをきれいなジャイアンに変える仕事をしていたが、人が
落ちるのをじっと待つのに飽き、泉から出て直接リチウムを叩き込む方が
手っ取り早いと考えるようになった。

道すがらリチウムを突き刺しながら各地を放浪する内に日本に到着。
リポDを携えてロッククライミングをしていた大正おじさんに出会い様
リチウムの洗礼を浴びせ、「考えてみれば踏ん張ったのは自分の力であって
リポDのおかげじゃないな」と我に返らせる事に成功。目覚めた大正おじさん
はリポDを捨て、彼女のリチウム悟りパワーをプロモーションし始めた。
これに学園側も注目、スカウトを受け晴れて学園の一メンバーとなる。
学園では特殊な魔法力をもつ妖精として長らくCクラスに在籍していた。

Dクラスが創設された後、抗てんかん魔法を使う妖精を集めてEクラス
(Epilepsy Drug Class)を創設しようという声が上がる。しかしその頃米国で
急速に成長し、発言力を高めていたリリー大佐がこの動きに強く反発。
うつの次は感情調節剤(Emotion Drug Class)にすべきだ!と声高に主張した。
クラスの中心に自分の娘である非定型魔法使いじぷりーを据え付けようと
する魂胆が見え見えである。昨今の精神科事情を鑑みて、感情調節剤の
クラスにすべきという案はすんなり通ったものの、抗てんかん派と非定型
抗精神派のどちらがクラスのイニシアチブを取るかで激しくもめる。結果と
してどちらにも属さないリチウムの毬が教導官に、ベンゾジ系妖精のりりぃ
が委員長に急遽抜擢されたのである。

とはいえ彼女の魔力は有機化合された通常妖精に代替できるような芸当では
なく、教導と言いながらも実際の試験官達には特殊ケースとして規格外扱い
されている。A,B,D,Sの各クラス被験生はある程度整理された
ファーマコロジックに基づいてメンバー構成されているが、Eクラスは
モデル妖精となる毬の魔力が解明されておらず、系統だったメンバー選出が
できない。従って被験生を抜擢・除籍するに当たって技官やスポンサー達の
思惑が様々に入り交じり、Egoistic Classと俗称されている。

勿論毬にとっては、クラス構成や上層部の意向など知ったことではない。
彼女の目的はただ一つ。標的にバッテリーニードルを突き刺し、リチウムを
注ぐ事だけである。あまりまとまりのないEクラスにあっても彼女は異端。
なにせ油断するとニードルを刺されるので、近づく者もあまりおらず、孤高
の存在である。そのせいか極端に無口。包帯+ボディスーツも相まって
あるキャラを連想させるが、そのつもりは一切無かったと釈明しておく(汗

ちなみに刺されると尖った気分を失ってある意味ヘヴン状態になるらしく、
好んでホイホイと近づく者もいるが、高濃度に彼女と接すると痙攣・失禁し、
いわゆるアヘ顔になる。世界中の人間にリチウムを注入したら世界は平和に
なる、と割と本気で考えており、行動原理は眷族を増やそうとする吸血鬼の
それに近い。本能に基づいて見境無く突き刺しているのだ!
もはや妖精ではなく射精である(ドヤァ!)



バッテリーの原料として、世界中で大幅に需要が増加中であるリチウム。
この原子量7程度の単純なアルカリ金属は、人体にとっても極めて複雑に
作用します。常人においてリチウムの血中濃度は0.001mEq/L程度と
非常に少なく、日本では必須ミネラルにすら定義されてません。何故それを
1000倍の濃度にすることが双極性障害に有益たり得るのか、肝心な所は謎に
包まれたまま、リチウムは現在もこの病気に対して第一線で活躍してます。

リチウムが気分変調に効く、というのは原理がよく分からないながらも
昔から経験的に知られていました。現トルコのエフェスにかつて存在した
泉は不機嫌症を治すという伝承があり、調査したところリチウムが大量に
溶け込んでいたことが判明しました。リチウム元素は1817年に発見され
ましたが、19世紀半ばには結石溶解剤として痛風に用いられ、19世紀末から
精神安定作用のある健康水として欧米で広く飲用されました。コカコーラに
コカインが当初入っていたのは有名ですが、それと同様にレモン系の
炭酸飲料であるセブンアップには、クエン酸リチウムが入っていたのです。
1950年代までリチウム入りのセブンアップは発売されていましたが、
リチウムの過剰摂取による心不全で死亡者が出たため、その後はリチウムを
抜いた普通の炭酸ジュースになりました。

リチウムが具体的に躁病治療に使われ始めたのも1950年代で、60年代には
日本でもリチウムの有効性が論説されました。こうした声を大正製薬が
捕らえ、1980年に炭酸リチウム錠「リーマス」として誕生させたのです。
LimasとはLithium Manic Depressive Psycosis から取られており、
「躁うつ病に効くリチウム」の意味です。躁うつどちらにも一定の効果を
示しますが、躁症状治療剤の名が示すとおり、躁病治療に優れています。

薬としてならクロルプロマジンの歴史に匹敵、伝承としてなら1500年以上の
長きにわたり有効性を証明し続けているリチウムですが、何故リチウムが
躁病に効果を示すのか、いまだにはっきりした答えはありません。
リチウムはナトリウムとよく似た性質を持っており、細胞膜ナトリウム
チャネルによって簡単に細胞内に取り込まれます。従って膜受容体では
なく、細胞内情報伝達系に直接作用するものと考えられています。細胞内でも
ナトリウムの働きに拮抗すると考えられていましたが、リチウムのイオン
半径はマグネシウムに近く、マグネシウムを活性基質とした様々な酵素に対し
影響を与えているのではないか、と言われています。

私が学生時代に読んだ薬理の本には、リチウムの薬理としてイノシトール
モノ脱リン酸化酵素(Inositol Mono Phosphatase, IMPase)を失活させる
とあります。イノシトールは細胞膜の構成成分であり、リン酸が3つ結合
したイノシトール三リン酸(IP3)はカルシウムが貯蔵された小胞体の扉を
開き、細胞内カルシウム濃度を上げる働きをします。IP3はIMPaseによって
イノシトールに戻り、再びIP3へと作り替えられるのですが、リチウムは
IMPaseを阻害することにより中途半端なイノシトールリン酸を増やし、この
サイクルを滞らせます。これによりIP3は枯渇し、小胞体からカルシウムが
放出されなくなる結果、細胞の活動低下、躁状態の鎮静につながる…

…ということですが最近読んだ本ではその説がざっくり疑問視されてました。
そんな!せっかく覚えたのに!
IMPase阻害薬をこしらえて投与してみたところ、リチウムと同様の効果が
得られなかったという事で、関与の可能性はあるにせよ重要ではない?かも。

最近では気分安定薬の条件として神経保護効果が重要であるという観点から、
グリコーゲン合成酵素リン酸化酵素3β(Glycogen Synthase Kinase3β,
GSK3β)という酵素への関与がリチウムの作用として注目されています。
GSK3βは様々な細胞内のシグナル伝達に関与してますが、長期記憶の形成に
必要なCREB(cAMP response element binding protein)というタンパク質の
働きを阻害したり、アポトーシス誘導蛋白p53発現を促進したりと、主として
神経細胞を脱落させる方向に作用します。リチウムはGSK3βのマグネシウム
結合部位に競合的に結合してこれを失活させ、結果として神経細胞の保護を
しているのでは無いかと言われています。GSK3βを遺伝子的に欠失させた
マウスでは通常マウスに比べ活動的になる事が明らかになっています。
また細胞分化に関与するGSK3βを阻害する=催奇形性の原因となる、という事で
リチウムは妊婦さんに与えてはいけない薬の筆頭項目です。

…とはいえこの説も研究が進めば、傍流の作用であるかも知れません。
そもそも双極の原因がGSK3βによる神経脱落であるという証拠もありませんし。
どうですか?原理を覚えるのにむなしさを感じてきませんか?
他にもミトコンドリアへの作用とかβ-アスレチンへの作用とかカルシウム
イオンに対する直接競合阻害だとか色々言われております。ですが、
ほとんどの薬は多かれ少なかれ細胞内情報伝達系に対し何らかの影響を
与えているわけで、正直これを薬理として持ち出されること自体が、
よく分かってない事の証明とも言えます。なので薬理の勉強をする際、
リチウムは上っ面だけ読んでさくっと回避する事が正解です(ヲイ

単純な水溶性アルカリイオンなので吸収率は100%。肝臓で代謝も受けず、
バイオアベイラビリティも100%。飲んだら飲んだ分だけ直接体に影響します。
だいたい300mgを単回で飲めば0.2mEq/L血中濃度が上がると言われております
が、有効血中濃度域を維持するには5日程連続して服用しなければなりません。
吸収は優秀ですが、分布は不均一。個人の腎機能や組織液量により必要量は
大幅に変わってくるので、血中濃度を定期的にモニターして、リチウム
摂取量をコントロールする必要があります。維持量は200mg/日~1200mg/日と
幅広く、米国などでは2000mgを使うこともあります。

治療に有効な濃度域は0.4~1.2mEq/L程度。それを超えて1.5mEq/Lに
達すると指の震えや下痢・嘔吐などが出始め、さらに増えると意識障害や
痙攣を引き起こす…ということで、1.2mEq/Lを超えないように服用量を
調節します。飲み始めは定期的に採血し、リチウム濃度を測るのが決まり
…なんですが、400mg/日程度の少量服用で収まる場合は結構省略されます…。

外来通院の場合、患者が必ずしも正確に薬を服用してくれるとは限らないし、
飲水量が多いとリチウムが希釈されて正しい血中濃度を示さなかったりする
ので、リスクを背負ってリチウム単剤の限界走行をするよりは、他の薬を
組み合わせて使う方が良い、というのが方針の先生は結構いると思います。

排泄は腎機能に大きく依存し、青年と老人では排泄時間が倍近く異なる
ので、お年寄りが服用する際には青年よりも注意が必要です。腎排泄型の
他の薬剤によりダイレクトに排泄が阻害されるので、リチウム服用時には
あまりロキソニンなどの腎排泄型医薬品を継続服用しない方がいいです。

吸収されればすぐに血中濃度は上がりますが、リチウムは慢性投与によって
効果を発揮する薬です。急性の躁症状を緩解する力は弱く、どちらかと
いえば再燃予防に効果を発揮します。それ以外にも、鬱を上げる力が
弱かったり、混合型や急速反転型の双極性障害への治療効果はあまり期待
できなかったりと、リチウムは完全な双極性障害治療薬とは言い難いですが、
これ以上に双極でまともに使える薬など他にほとんど存在しない(!)ので、
リチウムは依然として双極性障害の第一選択薬であり続けています。

リチウムが奏功するパターンは古典的な双極Ⅰ型であり、再発エピソードが
少なく、躁-うつ-間欠という周期を繰り返すという型です。最近では
そういう例が少なく、大概モヤっとした双極Ⅱ型だったり混合型だったり
するので、リチウム単剤でコントロールするより、他の気分安定薬の複数
併用が常態化されています。精神科の多剤併用は批判が多いですが、こと
双極性障害に関する限り、単剤治療は難しいようです。統合失調症における
ドパミン仮説や大うつ病における受容体仮説のように、双極性障害に共通
した病態仮説モデルが構築され、それに対応した薬物群が開発される事が
待ち望まれております。それにはフラッグシップ薬であるリチウムが
バシっとした薬理で説明できることが重要なのですが…えーと…。

鎮静剤や賦活剤のように飲んだ事による効果がすぐ出てこないし、副作用も
高濃度にならない限りほとんど出ないので、リチウムは服用してることを
実感しにくい薬です。また他の気分安定薬にも言えることですが、躁状態
というのは感受性や情動が亢進している状態なので、それを下げることは
音楽や絵画などの芸術活動にとって不利に働く可能性があります。気分安定薬の
擬人化がなかなか存在しないのは、ここら辺が原因かも知れません(違

「薬を飲むと自分が希薄になる気がする」とか言ってたのは七夜くんでしたっけ?
躁病はただでさえ自分に病識がないので、芸術家や厨二wには嫌われる薬です。
周囲への迷惑や主治医の助言などを総合的に判断し、納得して服用しましょう。

リチウムはその構造の単純さ故、類薬を作るのは絶望的です。双極性障害の
第一選択としての地位も、最近ではセロクエルやジプレキサに食われようと
しております。近年になって非定型抗精神病薬を双極性障害へ転用する動きが
盛んになっているのは、リチウムの薬理があまりに難解だからかもしれません。

「構造は単純を、原理は複雑を極め、人は最も人らしく」。アップルシードの
一節を逆さにもじってますが、リチウムにはこの言葉が相応しいように思います。
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by haya by hayanoya | 2012-02-19 14:48 | ちびまる向ちゃんトピ
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