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ちびまる向ちゃん(100)
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今年は予想に反して門前医が長期休暇をとったので、こちらも安心して擬人化
計画を進めることが出来ます。ありがたや。 GW明けの月曜日に地獄を見そうな気がするが今のところ考えないでおこう。 今期はアクセル・ワールドが面白いですね!原作はさほどに思わなかったのに アニメの力ってゴイスー。あと咲は1話見逃したら話について行けなくなり そうな展開の早さで、緊張感を持って見てます(汗 んで今回は双極の躁うつ両方に適応を取った記念で、ジプレキサを取り上げます。 Sクラスは擬人化しねぇ!とか言ってた頃が嘘のようだ(そればっかりだな 一般名はオランザピン。 発売は日本イーライ・リリー。 規格は2.5/5/10mg。 あと5/10mgに口腔内崩壊錠(ザイディス)。 愛称は「じぷりー」。 抗精神病薬がド級薬価路線に なってしまった大元凶の薬なので、 やっぱりバブリーでゴージャスで 馬鹿っぽい雰囲気を出そうと思いました。 髪の色はザイディス錠から。髪型はジプレキサマークである数字の3みたいな アルファベットのZを意識してます。基本色はイメージカラーである紫色の ストライプ。ドレスはスパンコール入りで華やかに。首に巻き付けたショールは イーライリリーにもらったタオルが元ネタですw 一応リリーの薬なので 百合の花を付けてます。申し訳程度の癒し要素。 ジプレキサといえば体重増加と言われるほどのピザ薬なので、当然巨乳かつ 足も太い。妖精なので体重というものが存在するのか不明だが、全キャラで もし重量監査すれば間違いなく一番重いと思われる。髪の毛も無駄に左右に 広がっており、とにかくギラギラと暑苦しく、圧倒的な存在感を示している。 スイスで偶然生まれ育ち、次元の違う魔力と異常な嗜血性から「ドラキュリーナ」と 恐れられた魔女・ザリル。あまりの被害の大きさに封印指定を施された彼女だが、 「埒外」と言わざるを得ないその力に魅せられたファミリーも多く、ザリルに 似せた妖精を作り出す研究が各地で行われた。じぷりーもその一人である。 リリー家で二人の姉の犠牲の元に生まれたじぷりーは、ザリルに似た強烈な 魔力を持ちながら代償としての人血を必要とせず、生まれながらにして英雄たる 資格を備えていた。既に米国で「奇蹟の才媛」たる女王ローザをデビューさせて いたリリー家は、ローザに替わるカリスマとしてじぷりーをプロモートし、 思惑通りに大ヒットを果たす。ローザ・じぷりーの立て続けの成功によって、 リリー家はロシュ家やアップジョン家を抜き、精神科の王者として君臨するのである。 欧米で華々しい活躍を遂げるじぷりーには学園も当然注目しており、当時 設立したてでぱきるを中心に活気のあったDクラスに較べ、イマイチ地味な Sクラスをもり立てる目的でリリー家のじぷりーと、ゼネカ家のけせらを 学園に招聘する。どちらも極めて優秀な成績で試験をクリアし、両家から 巨額の移籍金をふっかけられるも何とか交渉が成立。Sクラスにも華やかな 雰囲気が生まれ、学園の知名度は高まった。学園長の目論見通りである。 ここまでは。 じぷりーは骨太かつ多彩な魔力を有しており、その器はSchizophreny治療 だけに収まるものではなかった。その実力に釣り合う程のとてつもなく 高い自尊心を持つじぷりーは、次第に自分が他のSクラス連中と同列に 扱われることに不満を感じてきたのである。クラスの雰囲気はギスギス し始める。クラスメイトはじぷりーの尊大な言動に反感を持ちはするものの、 国内外で華々しい活躍をする彼女に対して文句を言える程のキャラは 存在せず、クラスの亀裂は表面上何も現れないまま静かに進行していった。 そして、決定的な破局が訪れる。災禍の魔女ザリルが、一部封印を解除して 学園へ参入することが確定したのである。じぷりーやけせらの能力は ザリルを模範として培われたものであり、オリジナルが復活した以上は その画期性を失う。これでようやくSクラスに平穏が訪れると皆安堵した。 しかし、じぷりーは自分が副次的な存在に落とされることを嫌い、より一層 Sクラス以外での活動を望むようになったのである。父親であるリリー大佐が 学園側に連日働きかけ、ついにじぷりーのSクラス脱退と、感情調整剤 カテゴリの為のEクラス創設を認めさせる。 リリー大佐は新造のEクラスでじぷりーを級長に据え、クラスの主導権を 掌握するつもりだった。しかし抗てんかん魔法を使う妖精を擁する各家から 猛烈な反発に合い、結局級長には毬が就任することになる。じぷりーは いたく自尊心を傷つけられて更なる特別扱いを求め、Emotion Drugと Schizophreny Drugを兼任するカテゴリ、Esクラス所属を自ら呼称するように なった。学園側が正式に認めたクラスではないが、これで学園内の治安が 守られるのであればと、現状Esクラスは黙認状態にある。 EsクラスはE・S両クラスの魔力使用権限を持ち、両クラスメイトに対し 魔力輻輳の協力を要請(級長のじぷりーは強制)することができる。籍は一応 Eクラスに存在するものの、Eクラス級長の毬に従う必要は無い。とはいえ 毬自身は全くクラス内の上下関係に興味無いので、今の所問題は起きていない。 じぷりーがほとんど独断で結成したカテゴリであるため、現在所属しているのは じぷりー・けせら・えび華の三名のみである。けせらは面白そうだからと 言う理由で自ら所属を決めているが、えび華は巻き添えを食らった形であり、 かなり迷惑がっている。 このように自己中心的な性格のじぷりーであるが、彼女やその実家がが自負する 通りその才覚は傑出しており、幅広い分野で活躍した経験や実績はオリジナルで あるザリルを凌駕している。彼女の登場は学園に嵐を巻き込んだが、同時に カテゴリ別の使用魔法クラスで妖精達を管理するという既存の学園運営手法に、 限界があることを見せつけられた出来事となった。 ジプレキサが日本で発売されてもう10年以上経つ事に愕然としている私です(汗 最初は当然抗精神病薬という触れ込みで発売されましたが、「気分安定薬」という 概念が当時のウチの勤務先にも浸透しつつあり、リーマスやデパケンに並んで 発売して1年も経たないジプレキサが同カテゴリに並べられる事に違和感を 感じていたものです。「500円玉を飲み込んでいる」と評される程馬鹿高い薬価や いかにも外資系っぽいやけに頑丈なPTPなど、色々な意味で規格外な薬でした。 ジプレキサの主成分・オランザピンは1982年、イーライ・リリー社の 英国リサーチセンターで合成されました。オランザピンの構造はリリー社が 独自に発見した物ですが、その原案となった薬は1958年にスイスのワンダー社で 合成された非定型抗精神病薬の元祖、クロザピンです。 クロザピンは「イミプラミンよりよく効く抗うつ薬を探していたら、何故か ベンゾジアゼピンの形をした抗精神病薬が見つかった」という訳の分からない 経緯で発見された薬です(笑) イミプラミンはクロルプロマジン様の抗精神病薬を 探す過程で発見された薬なので、ある意味クロザピンはクロルプロマジンの 後継種と言っていいかもしれません。当時クロルプロマジンやハロペリドールで 問題になっていた、筋肉の動きに異常を起こす錐体外路症状(EPS)が全く出現 しない抗精神病薬として、クロザピンは欧米を中心として急速に浸透しました。 しかし1975年、クロザピンはフィンランドで承認後6ヶ月間に、8名の死亡例を 含む16名の無顆粒球症という重篤な副作用を引き起こしました。これを受け、 各国は一時期クロザピンの発売を停止します。日本でも大日本製薬が臨床試験を 始めていましたが、この事件によって開発は頓挫する事になります。 その後、定型の抗精神病薬では効果の出にくい、治療抵抗性の統合失調症が 各地で目立つようになります。このような状況でしばしばクロザピンは突破口と して活躍していた事実が見直され、厳密な血液モニタリングの管理下において クロザピンの発売を再開したり、クロザピンに近い薬理を持ち、なおかつ 血液障害を引き起こさない薬物の開発が求められるようになりました。これに 対してリリー社が示した解答が、オランザピンになります。 構造式を見てみると、ジベンゾジアゼピンであるクロザピンの、片側のベンゼン 環をチオフェン環に変えた物がオランザピンであり、チエノベンゾジアゼピンと 呼称されています。これはちょうどジアゼパム(ベンゾジアゼピン)と クロチアゼパム(チエノジアゼピン)の関係に似ていますね。 構造を変化させた事でクロザピンと全く同じプロフィールを得る事は出来ません でしたが、EPSを引き起こさず、既存の抗精神病薬で効果の出にくい症状に対し 治療成績を示すなど、それに近い実績を得る事が出来ました。何よりクロザピン の致命的な副作用である血液障害をほとんど引き起こす事が無く、リリーは 絶大な自信とともに1996年、オランザピンをジプレキサの名で発売します。 当時米国には次世代と呼ばれる非定型抗精神病薬はクロザピンとリスペリドンの 二種類しかなく、前者は血液障害、後者は高用量下におけるEPSという弱点を 抱えていました。ジプレキサはそれらを解決した薬という事でリリーは強気の 価格設定を行い、"Premium Drug, Premium Price"と宣伝しました。この米国の 販売価格が日本でのジプレキサの薬価決定に影響し、2001年に国内で発売された 時には、抗精神病薬の常識をかけ離れた値段に皆驚いたものです。その後国内で 発売された抗精神病薬は全てジプレキサの薬価を基準に設定された事を考えると、 正直この薬に対して複雑な思いを抱いてしまいます…。 とは言え、ジプレキサは単に「EPSを無くしたクロルプロマジン」ではありません。 薬価に見合うだけの実力を秘めています。統合失調症・双極性障害・せん妄・ 不眠・認知症・その他よく分からない精神症状など様々な条件下、停滞した戦況 を打開しうる、起爆剤のような薬なのです。 MARTA(Multi-Acting Receptor-Targeted Antipsychotic;多元受容体標的化 抗精神病薬)と呼ばれるに相応しく、ジプレキサの薬理プロフィールは多彩で、 D1~D4、5-HT2A/C、5-HT3、M1、M3、α1、H1など様々な受容体に結合します。 クエチアピンと較べると、5-HT1やα2受容体への作用は弱くなっていますが 5-HT2CやH1受容体への作用は非常に強くなっています。同じMARTAといえども 両者は得意分野が異なり、ジプレキサは賦活や認知の改善に優れており、 セロクエルは不安や不眠の改善に優れているわけです。 更に、非定型抗精神病薬は統合失調症初期における神経脱落を阻止しうる事が 最近の研究で示されています。統合失調症は症状が再燃する事に人格の 荒廃が進行しますが、この原因として大脳皮質下における神経細胞の脱落が 存在すると言われています。D2受容体とタイトに結合するハロペリドール等の 定型薬はこの進行を抑える事が出来ませんが、結合の緩い非定型薬は フリーラジカルを除去してアポトーシスを防ぐばかりか、脳由来神経栄養因子 (BDNF)を増加して神経機能を回復させている事が動物実験で確認されています。 この神経保護作用こそが非定型薬を統合失調症だけでなく、認知症や双極性障害に 対して応用される根拠の一つになっています。ジプレキサはこれらの研究で 最も調査された薬であり、結果として最も多彩な神経保護エビデンスを持っています。 リリーは早くからジプレキサの双極性障害への応用を考えており、矢継ぎ早に 臨床試験を追加して、発売後4年で双極の躁症状に対する適応を米国FDAから 取得しています。統合失調症の陽性症状と双極の躁症状は似通った部分があり、 中脳辺縁系ドパミン神経の過活動を抑制する事で抗躁作用を発揮するとリリーは 説明しています。ここまでは定型薬とさほど変わりません。 ところが、今度はジプレキサと自前の抗うつ薬であるプロザックを引っ付けた 合剤である「シンビアックス」を開発し、双極のうつ症状に対しても強引に 適応を獲りにいきました。これは2003年FDAに認められます。更に翌年、双極の 長期維持療法に対しても適応を取得します。ジプレキサは抗精神病薬であり ながら、気分安定薬として最も豊富な適応承認を得るに至りました。競合 相手の多い統合失調症カテゴリで消耗戦を続けるより、新しい市場を開拓した 事はリリーの英断ですが、ジプレキサが異なるフィールドでも十分戦果を残せる 強機体であった事は幸運だったと思います。 日本でもこれらの豊富な臨床試験データを元に双極性障害の臨床試験が行われ、 2010年10月には躁症状の、2012年2月にはうつ症状の適応が追加されました。 日本ではシンビアックスの発売が見送られているので、ジプレキサ単独のうつ 適応獲得は日本独自になります。米国ではシンビアックスとの競合を避けるため ジプレキサ単剤でのうつ適応を狙う事はありませんでした。プロザックの助力が 無くても十分な抗うつ効果を示すのかどうかは、日本で試される事になります。 双極うつに対する薬理の根拠として、リリーは5-HT2A/C受容体遮断作用を挙げて います。MARTAの中でジプレキサが最も強いこの効果ですが、大脳皮質前頭前野 において5-HT2の遮断はノルアドレナリンおよびドパミンの遊離を促進すると 言われています。この点はちょっとデジレルの項でも触れています。ただ これだけだとちょっと論拠として弱いので、前述の神経保護作用も何らかの 影響を与えているのではないかと思われます。 勿論、抗うつ薬のようにトランスポーター阻害作用を持つわけではないので、 シンビアックス程の抗うつ効果は得られないでしょうが、逆に双極うつの厄介な 面である「躁転」は起こりにくい気がします。セロクエルに較べるとジプレキサの 双極うつは少しエビデンスに乏しいですが、国内で双極の躁うつ両方に対して 適応を取った抗精神病薬は、2012年5月現在ジプレキサのみとなっています。 5-HT2Aは不安、5-HT2Cは睡眠の質に影響するとも言われており、ジプレキサの 抗不安薬/睡眠薬としての活躍も示唆されますが、流石に既存薬に較べて 高すぎるコストから現実的ではないと思われます。 ただ5-HT2C受容体遮断は、ジプレキサの深刻な副作用である「肥満」および 「糖尿病」にも影響します。5-HT2C受容体とH1受容体は視床下部において食欲を 制御しており、両者を遮断すると食欲増進に傾きます。従ってこれらとどちらも タイトに結合するジプレキサは、セロクエルに較べても強い食欲増進作用を 引き起こすのです。更にインスリン抵抗性や空腹時中性脂肪を増加させる事も 示唆されていますが、これに関して具体的な機序はまだ判明していません。 膵臓は副交感神経からムスカリンM3受容体を介してインスリンの分泌を行って おり、M3を遮断することでインスリン分泌量が低下する事も報告されていますが、 多くの人にとってはあまり影響がないとも言われています。 この肥満・糖尿病の問題さえクリアできるなら、ジプレキサは他に目立った 副作用が無く長期服用後の予後も良い、比較的続けやすい薬と言えます。 世界中でジプレキサは精神科医に好んで使われており、プロザックや サインバルタを余裕で抜き去る年間5000億円以上の売り上げをリリー社に もたらしました。米国では2011年に特許が切れ、売り上げが急落したために 最後の市場である日本に攻勢をかけると見られます。日本では400億近い 売り上げを示していますが、双極の適応追加により往年のパキシルが築いた 大台の500億に届くかも知れません(注:2011年度売り上げで500億いきました)。 プロザック・ジプレキサに続くリリーの大型向精神薬はまだ現れていません。 新しい機序の抗精神病薬、グルタミン酸自己受容体刺激薬の開発が急がれて いますが、上手く発売にこぎ着けたとしても数年のスパンがかかります。 日本でジプレキサの特許が切れると噂の2015年までに開発終了するのかどうか。 プロザック三姉妹とジプレキサを擁し、現代精神科領域メーカーの頂点に立つ リリーの王座が守られるのか、それとも大塚/ルンドベック連合が政権交代を 果たすのか。個人的には内資系の大塚を応援します(えー |