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向精神薬擬人化その41:デパケン
おかしい…一年で一番暇なはずの時期に仕事で忙殺されてるってどういう事よ?
患者も来てないのに!夏コミも終わったのに!

職場と自宅のPC環境がWin7に一新されたせいで何もかも捗らないぞ!
Win7のファイルの共有ってこんなに面倒くさいのか…エクスプローラが
異常に使いづらいっ!?なんでフォルダ変えるたびデカサムネイルになってんの?
あぁっタイムカードソフトもオンライン請求もろくに動かないのに
地獄の棚卸とレセプトが始まるぅあ!!!そして夏休みが終わって子供らが(ry

…というわけで、通販の開始は遅れに遅れましたが、何とか明日に始められそう
です。すいません…。
現実逃避のために、Eクラス一の癒し系・デパケンでも擬人化しよう。
デパスと名前が似てるので、愛称がなかなか決まりませんでした。

向精神薬擬人化その41:デパケン_f0133373_1433979.jpg一般名はバルプロ酸ナトリウム。
規格は100/200/R100/R200/
細粒/シロップと豊富。
愛称は「れね香」で。
「DepakeneR」を逆から読んだ感じでひとつ。
…全部読むと「れね香・ぺど」だな。
じゃぁペドキャラで(ヲイ

包装も薬理もモブっぽいので、
いかにもモブ子なデザインに
してみました。田舎町で

パン屋の売り子をしてるイメージ。きれい好きでセッケンの香りがする。
デパケンRよりもデパケンの方がカラフルなので、配色はデパケンをメインに。
デパケンRの剤型上、巨乳キャラにすべきか…とも思いましたが、じぷりーと
キャラが被るのでボツになりました。マトリックス構造は偽乳っぽいしね!

地味系女子の共通スキルとして、料理は上手。協和発酵でスキルを磨き、パンを
膨らませたり酒のアテを作ったりするのがめっぽう得意。
左手に持ってるかき氷にはデパケンシロップがかかっています。どんなに
食べてもキーンッてならないよ!偏頭痛予防だからね!おなかは壊すけど。

小児用てんかん目的で開発されたこともあり、外見通りの姉キャラで子供好き。
泣いてる赤子をあやし倒すテクは学園随一である。クラスでも姉属性を発揮し、
特に見た目が幼女のみくに対して過剰にお節介を焼いてしまう。度を超すと
鬱陶しがられるが、基本みくはアホなので褒められることに弱く、お互いの
関係は比較的良好である。

米国生まれのフランス育ち。グルノーブル地方のベルチェ家で育つ。
カストル出身のとと美とは幼馴染みで、どちらも田舎臭い。
実家で子供向けのブリオッシュを作って販売していたところを、もやし屋の
協和おじさんに見初められ、「日本にも是非その洋菓子を!」とスカウトされて
はるばる日本にやって来る。給食のコッペパンの不味さに辟易していた子供達に
自作のパンをふるまったところ、あまりの美味に脳波が収束するほどの衝撃を
与えた。以来彼女のパンは子供達を中心に、日本で広く知られるようになった。

しかし彼女のパンは日持ちが悪く、朝に作ったものが夜には溶けて無くなって
しまうというほどの不安定ぶりだったため、協和おじさんは自前の発酵技術を
使ってなんとか長期保存できるものを作り出そうと努力した。そこで作られた
のがマトリックス構造を内包したフランスパンばりの堅焼きブリオッシュで、
味は良いものの歯が欠けるほど堅く焼き締められており、アゴの丈夫な大人用
「R(Rated:R指定)」として発売された。固くて飲み込みづらいが腹持ちが良く、
Rもそれなりに売れるようになったという。

自己中心的な連中が多いEクラスにあって、非常に常識的で温厚な
性格をしている。このクラスでその性格を保てるのは尋常ではなく、
かえって彼女の異能性を際だたせている。彼女が仲介に入るとどんな
イザコザもうやむやになってしまう。まさに典型的な気分安定薬である。
(別に問題を解決してるわけではないので、れね香がいなくなるとまた再燃する)
抗てんかんカテゴリと抗精神病カテゴリは基本対立関係にあるが、
れね香がうまく仲介役(薬)を果たしている。さすがもと溶媒。

毬はリチウムを注入して無理やり安定させているイメージだが、れね香は
お茶請けとか作って場を和ますタイプで、鎮静と言うより停滞に近い。
でもちょっと立ち止まって頭を冷やすというのも大事なことなので、
毬とはちがったベクトルで、れね香の存在も学園的に重要視されている。
外見は地味だが、Eクラスで三指に入る実力の持ち主である。
(1位が毬・2位がけせらorじぷりー・3位がれね香…という感じで捉えられている)



抗てんかん薬カテゴリの気分安定作用はどれもこれもよく分かっておりませんが、
分からないながらも繁用され続け、気がついたら気分安定薬でメイン薬剤的な
扱いになっていた…という薬がリチウムとバルプロ酸です。しかし昔から薬効が
知られていたリチウムとは違い、バルプロ酸は気分安定効果どころか薬として
認められてすらいませんでした。バルプロ酸自体は1882年に米国のケミトロン・
ケミカルズにて合成されたのですが、当時はもっぱら親油性試薬を溶かすための
溶媒として用いられており、純粋な研究用薬品だったのです。

1963年、フランスのグルノーブルにあるベルチェ社に勤務していたムニエ達は、
当時研究が盛んだった薬草成分、ケリンとその類縁化合物の向精神作用を調べて
いました。ケリン類をうまく溶かすために溶媒としてバルプロ酸を用いることを
思いつき、ペンテトラゾールによるてんかん誘発マウスに対して投与したのです。
実験を繰り返すうちに、どうもケリン類を加えずとも溶媒のバルプロ酸単独で
抗てんかん作用を持つ事が判明しました。ベルチェ社は開発方向をバルプロ酸に
切り替え、1967年フランスで抗てんかん薬としてのバルプロ酸が承認されました。

日本国内でもベルチェ社の発見は注目されており、1968年には早くも臨床試験
研究会が行われ、てんかん小発作に対して著効を示すことが報告されています。
日本では協和発酵がバルプロ酸開発を担当しています。協和発酵は英グラクソ社
コバマイドを当時の海外薬剤導入窓口商社である新日本実業から導入しており、
同社と結びつきを深めていました。バルプロ酸も新日本実業から強く開発を
勧められていたのです。とはいえバルプロ酸の薬理は明確ではなく、世界各地の
研究報告も存在せず、てんかんのメイン症状である「大発作」に対する抗てんかん薬と
較べて対象患者が少なく市場性が小さいなど魅力ある商品とは言えず、
協和発酵はあまり乗り気ではありませんでしたが、子供用の抗てんかん薬が
少なかったことなど、将来化ける可能性に賭けて開発が決定されました。
1972年に申請、74年に承認、75年3月に「デパケン錠」の名で発売されます。
デパケン(Depakene)の「デパ」はDPA(sodium DiPropyl Acetateの略号)、
「ケン」はセッケンの「ケン」から来ています(後半は妄想)。

動物実験で催奇形性が認められたことや、てんかん大発作の二重盲験を人道的
見地から断念したために適応が取れなかったことなどから、当初デパケンが
売れることに期待している者は全くいなかったそうです。ところがデパケンは
発売後着実に売り上げを伸ばしました。1978年には年商20億円だったものが
20年後には100億円近い成長を示し、抗てんかん薬市場の40%を占めるに至り
ました。バルプロ酸はWHOの必須医薬品リスト「エッセンシャルドラッグ」にも
加えられ、今日でも極めて重要な医薬品として高い評価を受けています。
協和発酵の博打は、正しく報われたと言えます。

ただデパケン錠は吸湿性が強く、発売後に吸湿による外観変化のクレームが
しばしば発生しました。また、発売からわずか6年後には後発品が発売され、
吸湿性問題を解決した大日本の「バレリン」や、小児用細粒である「ハイセレニン」
など、デパケンより優れた性能を持つ薬物が市場に現れたのです。
危機感を抱いた協和発酵はデパケン錠の吸湿性と、ついでに短すぎる半減期
(8~15時間)を改善すべく、徐放錠の開発に乗り出します。これがデパケンRで、
Rは「Retard(持効性)」の略です。

しかし開発当時の1988年には「徐放性製剤のガイドライン」により、後発品対策の
ための安易な徐放錠製剤販売は戒めるべしという風潮が出来ていたのと、医薬品
開発の規約であるGCPの内容が大幅に変わったため、デパケンRの承認申請は
難航を極めました。あまりの問題の多さに「リタード錠ではなくリタイア錠だ!」
というジョークまで飛び出しましたが(笑)、1990年に無事承認されました。

デパケンR錠は当時の協和発酵の技術の粋を結集して作られた薬で、非常に
凝った作りになっています。表面は吸湿を防ぐためのシュガーコーティングが
されており、内側は胃薬にも使われるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムと
バルプロ酸ナトリウムを混合したスポンジ状の「マトリックス構造」と、それを
覆うエチルセルロースの皮膜からなる二重構造をしています。

内服後、腸管にてマトリックス構造に含まれるバルプロ酸ナトリウムはエチル
セルロースの皮膜の隙間から徐々に放出され、10時間程度でほぼ完全に放出
完了します。マトリックスと皮膜は不溶性のため、糞便にそのまま排泄されます。
このため薬が吸収できてないのでは?と不審に思う人もいるようですが、服用
して10時間以上体内に存在する場合、まず確実に吸収は完了できています。
かみ砕くとこの構造が破壊されるため、徐放効果の無い普通のデパケンになって
しまいますが、重度の下痢などで消化管排泄速度が速まっている場合は、
一時的にかみ砕いて服用することもアリだと考えられています。

デパケンRは吸湿性・速溶性・ついでに胃腸障害といったバルプロ酸の問題点を
解決した製剤で、非常に完成度が高い薬になっています。協和発酵と平行して
小児用のバルプロ酸徐放顆粒、セレニカR顆粒を発売した興和創薬は、2004年に
セレニカR錠も開発しておりますが、コアの錠剤を水不溶性の皮膜で覆うだけの
構造に留まっており、湿気に弱いためPTPからバラして使うことはできません。
薬価もデパケンRに較べて高くなっており、こんなの使う医者っているの?と
いう感想を発売当時は持っていました…が、錠剤が小さいので子供や老人には
向いているようです。バルプロ酸は各メーカーが様々なバリエーションを考案
しており、用途や年齢に応じて使い分けることが重要になっています。

考えられるバルプロ酸製剤の使い分け:
子供用シロップ剤…デパケンシロップ、無色ならエピレナートシロップ
子供用速放細粒…デパケン細粒
子供用徐放細粒…セレニカR顆粒
速放錠…バレリン錠
徐放錠(100~200mg)…デパケンR錠
徐放錠(400mg)…セレニカR錠400mg

ちなみに海外では、胃腸障害を減らすためバルプロ酸とバルプロ酸ナトリウムを
等量混合したジバルプロエート製剤、「デパコート」が一般的に発売されています。
効果は大体同じと言われていますが、デパコートの徐放剤は生体吸収効率が
80%に落ちると言われており、剤系の違いによらずほぼ100%吸収される
デパケンRの方がバイオアベイラビリティ的に優秀と言えます。

抗てんかん薬として開発されたバルプロ酸ですが、発売当初から急性躁病に
対する有効性が報告されており、世界中で双極性障害に対する研究が行われて
います。90年代には米国で二重盲験比較試験が行われ、95年には双極躁症に
対する適応がFDAに認可されました。日本で比較試験は行われていませんが、
躁症に対する有効性は「医学薬学上の公知」とされ、2002年に適応追加されました。
リチウムが躁うつを長いスパンで周期的に繰り返す古典的な双極性障害に
よく効くのに対し、バルプロ酸は急速交代型や躁うつがもつれる混合型など
ややこしいタイプにも一定の効果があるとされます。躁に較べるとうつへの
効果は一段劣り、抗うつ薬やリチウムとの併用が前提となってきます。この事
から双極の予防にも不向きと思われていましたが、維持療法におけるうつの
再発予防効果は比較的高く、最近再評価がされています。

バルプロ酸の薬理作用はリチウム同様ハッキリしておらず、様々な憶測が
立てられています。主に言われているのは脳内GABAトランスアミナーゼを抑制
してGABAの分解を防ぎ、脳内抑制系を活性化させることにより細胞の興奮を
抑えるという説です。その他にも、電位感受性ナトリウムチャネルに結合し、
ナトリウムの細胞内流入を阻害しているようです(膜安定化作用)。

一説には、強い塩基性物質であるためシナプス間隙の組織液のpHを変化させ、
塩基性である神経伝達物質と酸性である受容体の結合性を弱めているのでは
ないか…とも言われています。バルプロ酸は構造的に炭素数8個の中位脂肪酸
であり、バルプロ酸Naは平たく言えば低分子のセッケンです。受容体にこびりつく
汚れたリガンドを、バルプロ酸で洗い流している…というイメージは、非常にスッキリ
していて理解しやすいですね。元々溶媒として使われていた薬物だけに、案外
この仮説は当たっているような気がしますがどうなんでしょうか?

てんかんへの有効な治療血中濃度域は40~120ug/mlと言われています。躁症に
使う場合は少しレンジが狭く、50~100ug/mlとなりますが個人差も大きいです。
ノーマル錠やR錠でも1日1回で服用する場合は日内の濃度変動が大きく、
てんかんはともかく双極予防に対してはあまり適しません。一番安定している
のはR錠を1日2回服用することです。デパケンはかなり低力価な薬で、一日8錠
飲むこともあります。あのでかい錠剤を分1で大量に飲むのは相当しんどいので、
コンプライアンスの上でも分2で服用する方がよいかと思います。

排泄経路は肝→腎で、主に肝臓でグルクロン酸抱合を受け、尿中に排泄されます。
腎排泄一本で排泄されるリチウムに較べ、患者ごとの血中濃度をシビアに観察する
必要は無いと言えます。ただ同じ経路で代謝されるラミクタールと併用すると
ラミクタールに使われるべきグルクロン酸を奪ってしまい、結果として
ラミクタールの効果を2倍に増やしてしまいます。従って、デパケンと併用する
際はラミクタールの量を1/2に減量することが推奨されています。

またカルバペネム系抗生物質との併用は、バルプロ酸の血中濃度が大きく
下がるため禁忌となっています。カルバペネムがグルクロン酸を誘導すると
言われていますが詳細は不明です。カルバペネムは大体院内で注射剤として
用いられてきたので外来ではあまり注目されていませんでしたが、近年
オラペネム小児用細粒という経口カルバペネム剤の使用量が耳鼻科を中心に
爆発的に増えてきているので、特に子供の場合は注意した方がよいと思います。

デパケン錠は服用後の血中濃度の立ち上がりがR錠に較べて非常に強く、
急性躁症や突発性片頭痛など即効の血中濃度を求める場合はデパケン錠の方が
適していると言えます。とはいえバルプロ酸という薬自体に即効性はないので、
他の薬で発作を抑えつつデパケン錠を飲み、その後デパケンRに切り替える形が
スムーズかな?緊急時にそんな面倒な事は考えてられないと思いますが。

片頭痛について少し触れましたが、米国ではバルプロ酸の片頭痛発作抑制作用が
以前から認められており、96年にFDAで承認されています。日本では臨床試験を
行ってないためかなり遅れましたが、躁症と同じく「公知」の効能と認められ、
2011年にようやく適応が追加されています。あくまで発作予防なので、バカ高い
トリプタン製剤の代用として安価なデパケンを…というわけにはいきません。
トリプタン製剤の使用量は減るかも知れませんが。

リチウムに較べると高血中濃度での副作用が少なく、比較的安全に使える薬です。
ただ催奇形性のリスクは同種のカルバマゼピン等に較べても結構高いので、
妊婦には向きません。添付文書上では有益な場合のみとぼかした書き方をして
いますが、葉酸を摂取したり血中濃度を定期観測したりと対策した方が良いです。

子供のてんかんに対して一生懸命頑張っているデパケンが、逆に胎児に対しては
危険な薬となっている…という状況はいかにも皮肉なものがありますね。
バルプロ酸もまたリチウムと同じく、あまりに単純な構造ゆえに後継品の目処が
全く経っておりません。子供好きのれね香姉さんが、お母さんから好かれる日は
果たして今後やって来るのでしょうか?
by haya by hayanoya | 2012-09-02 01:51 | ちびまる向ちゃんトピ
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