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ちびまる向ちゃん(100)
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インフル今年は流行らんなぁ~と思ってた矢先に鬼流行!
イナビルが苦くて吐いたり泣いたりこぼしたり阿鼻叫喚な薬局模様の中、 ウィルスに塗れながらつつがなく仕事しております。 さて、昨年10月にエチゾラムが向精神薬として制定されたのは皆さんも記憶に 新しいとは思いますが、あの時規制されたのはデパスだけではありません。 エチゾラム、ゾピクロン、フェナゼパムです。 ゾピクロンはアモバンだからいいとして…フェナゼパムって何? と、日本の薬剤師は誰もが思ったのではないでしょうか。 このフェナゼパム、日本では過去一度も発売されたことはありません。 1975年に旧ソ連で合成され、1978年から現在まで旧共産圏で 最も多く処方されたベンゾジアゼピン系抗不安薬の一つです。 ほとんどの抗不安薬が向精神薬規制されている中、輸入が可能だった 数少ない希少な薬でしたが、この度の規制でそれが不可能になりました。 今後手に入れられる可能性は限りなく低いので精神科的に重要ではないですが 昨年末ブログ読者の方からPhazepamの外箱(中身無し)をいただきまして、 せっかくなので擬人化させてみようと思い立ったのでございます。 刮目せよ!これがクレムリンに咲き誇ったベンゾジアゼピンだ! ![]() 製品名は「PHAZEPAM-ZN 1mg」だそうです。ZNは製造会社である 「ズダローヴィエ・ナロードゥ」社の略で、「人々の健康」と いう意味だそうです。ズダローヴィエ単独だと「乾杯」になります。 ウォッカを飲む度に健康を祈るって、それヤバイ酒って認めてry このフェゼパムを擬人化させたのがこちら…ですがこれ初見で薬の擬人化と思う奴はいないのでは(汗 一般名はフェナゼパム。 商品名はフェゼパム?ファゼパム? 読み方があまり分かってませんがフェゼパムが一般的。 愛称はロシアっ娘らしく「パーミャ」ちゃんで。 学園生じゃないのでこの子もカタカナです。 パッケージが綺麗なグラデなのでそのままロシアっぽい 服に写し取りました。真ん中のは鉄板に見えますが一応 フェゼパムのPTPです。写真で見る限り地味なんです。 構造式的にレキソタンとよく似ているので、れきそとの対比で 銃を持たせました。ソ連といえばドラグノフですよね!(偏見 Cクラスのあせっとに続く暗殺系女子です。 筒先にはれきそのブロマイドが引っかけてあります。 -Brを持ってるBromideなので…というシャレ。 頭に乗せてる盆栽はフェナゼパムが何故かトルコあたりでBonsai Drugの通り名で 発売されてるのが由来です。大麻と混ぜて売ってるのか代替物として売ってるのか 知りませんが、非常に危険な物質という扱いをトルコでは受けているようです。 北の大地に順応するため無口。狙撃兵なので非常に辛抱強い。 伏射姿勢で60時間は芋砂できるが、ドラグノフの精度調整に苦労するので ロックオンから狭叉して命中するまで最大4時間かかる。実戦には少し不向き。 学園発足当時は旧共産圏にいたためコネクションがなく、ソ連崩壊後もあまり 目を引く才能では無かったため学園への推挙も無かった。パーミャは日本とは 逆方向に歩み、コーカサスを抜けてトルコ方面で活躍する。 学園があらかたの抗不安妖精を管理下に置いたため、国内の一部の好事家は 未知の刺激を求めてパーミャを召還、「赤いれきそ」の名でその希少さを 称えた。度々れきそと比較されたためにパーミャもれきそに興味を覚える。 いつの日か邂逅(うちあい)を…と思っていたが2016年10月、異端の妖精として 国外永久追放が決まってしまい、その願いは果たせずに終わった。 …と適当書きましたが、飲んだこと無いし患者の評判も聞けないので薬としての 性能はさっぱり分かりません(笑 なので構造式から類推してみましょう。 フェナゼパムは古典的な1、4-ベンゾジアゼピンで、その構造はブロマゼパム (レキソタン)によく似ています。上部構造は全く同じで、下に引っ付いてる のがクロロベンゼン環かピリジン環かの違いです。どちらもジアゼパムの系譜 である2-ケト N-デスメチルジアゼパム系に属しますが、実は下がピリジン環に なっているのはベンゾジアゼピンファミリーの中で唯一レキソタンのみなので、 この意味ではフェナゼパムの方が正統なジアゼパムの姉妹のように見えます。 ![]() 強い官能基ではありません。ハロゲン内上位3種で比較すると、電気陰性度は フッ素>塩素>臭素の順で、電気陰性度が強いと言うことは受容体に強く 結合するという事です。臭素は中途半端な結合力で、かつ分子量も大きいので 受容体に対する据わりが悪く、すぐに受容体と結合する機会を逃してしまいます。 レキソタン(2~5mg)が同じデスメチル体であるワイパックス(0.5~1mg)と較べて 高用量になっていたり、レンドルミンがほぼ同じ構造であるデパスに較べ弱い 薬であると言われるのはこういう理由によります。 従って写真のフェゼパムも、1mg錠ではほとんど効果が現れないのではないで しょうか。一応下部ベンゼン環に塩素が付いてるのですが臭素のサイズが大きい ので、受容体への結合性にはあまり寄与しないでしょう。実際フェナゼパムの 臨床力価は3~5mgくらいと言われています。 代謝の面ではどうでしょうか。フェナゼパムの代謝は大体他のベンゾジと同じ 経路をたどります。最初に3位にヒドロキシル基(-OH)が付き、それをフックと してグルクロン酸が抱合し、水溶性物質となって排泄されます。この最初に -OHが付くのに時間がかかるので、ベンゾジは一般的に半減期がかなり長いです。 フェゼパムの半減期は15~60時間と言われており、大体他のベンゾジと 合致しております。長い半減期を克服したベンゾジ系抗不安薬はレキソタン、 デパス(リーゼ)、ソラナックス、ワイパックスの5種しかありませんが、 それぞれ現在も強い人気をもつ主力抗不安薬となっていますね。 構造の似たようなレキソタン(約10時間)はどうして半減期が短いのでしょうか。 それはブロマゼパムに特徴的なピリジン環が影響していると考えられます。 ベンゾジアゼピンの代謝がが何故3位のヒドロキシル化から始まるかと言えば、 ベンゾジアゼピン構造で2位のケト基と4位の窒素の間の部分が一番極性が高い、 すなわち水に馴染みやすく、代謝酵素が-OHを植え付けやすいためです。 ではベンゼン環とピリジン環ではどちらが水に馴染みやすいかと言えば、 N原子の電子が余ってる分ピリジンの方が馴染みます。言い換えれば水をより 多く引きつけます。水が多いとどうなるか。代謝酵素による3-OH化より先に 加水分解によってベンゾジアゼピン構造が壊れてしまうのです。 この壊れたブロマゼパムはアミノブロモベンゾイルピリジン、ABBPと 言われており、もちろん抗不安活性はありません。ジアゼパムやメダゼパムでも このような開裂は起こりますが、代謝物のほとんどが開裂物であるのは ブロマゼパムの大きな特徴です。これが半減期の短い理由です。 ワイパックスは最初から3-OHがついていますし、デパスやソラナックスは トリアゾール環という極性の高い環を付加することで別系統の代謝経路を 辿ります。ロシュ社が作った内服ベンゾジアゼピン8製品の中で短時間作用型は レキソタンだけで、抗不安薬として特別に調整された薬という印象を受けますね。 と言うことで、フェナゼパムとブロマゼパムは構造式こそよく似ていますが 5mg飲めば効果はほぼ同じ、ただし抜けの良さは大幅に抑えられている薬で、 日本に導入する意義は低いと言えるでしょう。処方せん無しで輸入出来たのが 唯一のメリットでしたが、それも昨年で無くなりました。そもそも昨年までは デパスが個人輸入出来ていたので、輸入薬の中でもランクの低い薬だったと 思われます。1975年に合成されたと言うことなので、ロシュがあらかた特許を 取ったベンゾジアゼピンから何とか新しい派生物を作ろうと苦心したのでしょう。 希少性は高いですが、規制される前も後もあまり乱用問題には影響しなさそう。 途中からなんかレキソタンの解説になってしまったような… これで向精神薬擬人化その1の代わりになってくれたじゃろうか(待て |







このフェゼパムを擬人化させたのがこちら…ですが