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向精神薬擬人化その7:レンドルミン
向精神薬擬人化その7:レンドルミン_f0133373_2325594.jpgまたその7に戻ります。

一般名ブロチゾラム。
規格は0.25mgのみ。

眠剤で現在、唯一
口腔内崩壊錠(D錠)の規格を持つ。

愛称は「るみ」。
レンドルミン擬人化のコンセプトは
水商売のお姉ちゃんです。
数少ないお色気担当キャラ。倉科遼原作。
睡眠薬なのでネグリジェです。Yeah!
指に挟んでいるのは
近藤さん…では無論ありませんw

一人娘であったためべーリンガーパパに蝶よ花よと育てられる。
器量も良かったのでべたべたに甘やかされて育った結果、
「世渡りの基本は顔である」という哲学を得るに至る。

極度のファザコンで、着ている服は全てべーリンガーパパに
買ってもらったもの。同世代の少女との会話が少なく、
年上との会話を好むのも、父親の影響が強い。

眠剤としての才能は並であるが、媚びと甘えの巧みさで
教授陣を骨抜きにしているため、成績は常に上位。
だがベタベタしているように見えて、彼らに心を開いてはいない。
彼女が本当の心を見せるのは父親の前だけである。

こんな性格のため当然、クラスの他の連中とは仲が悪い。
比較的気楽に話せる友人はしおん位である。

更に、リスミーのりすみをしょっちゅういじめている。
でも、りすみもわりと好んで地雷を踏むタイプなので、
この二人は意外と馬が合っているのかもしれない。

理由はよく分からないが、何故か天然系のでぱ子が苦手。
また、その姉のりぃぜに理不尽な理由で追い回されるので、
抗不安薬のクラスにはなるべく近付かないようにしている。



名前の由来は就寝を意味するフランス語、l'endormirから。
何故ドイツメーカーなのにフランス語なのかは不明。
スイスで承認を受けたことと関係しているのかも。

開発はドイツの中堅メーカー、ベーリンガーインゲルハイム。
日本市場には戦後10年足らずの1955年に進出、
焼け野原の昭和30年代に腹痛の薬ブスコパンを売り続け、
以後50年来の付き合いである超親日メーカーです。

ベーリンガーのベンゾジアゼピンは、後にも先にこれっきり。
しかも単なるベンゾジアゼピンではなく、
チエノジアゼピンと呼ばれる硫黄配合の新骨格です。

ベンゾジアゼピン環にトリアゾロ環を引っ付ければ抗不安効果が
高まり、より強力な眠剤になることは、武田薬品とアップジョンに
よって既に証明されていました。

日本の吉富製薬はさらに強力なベンゾジアゼピンを模索した結果、
ベンゾジアゼピンのベンゼン骨格をチオフェン骨格に
変更した「チエノジアゼピン」を発見しました。
これに更にトリアゾロ環を引っ付け、より強力にしたのがデパスです。

こうして1978年にはリーゼ、83年にはデパスと、日本を代表する
抗不安薬を完成させ、「チエノジアゼピンの吉富」の名を
不動の物としました。

ところが、リーゼやデパスの類縁物質に、嵐のように特許を
取りまくったにもかかわらず、デパスのエチル基を臭素に変えた
物質「ブロチゾラム」類は、特許を取り忘れていました。

ベーリンガーはこれに目をつけ、「チエノトリアゾロジアゼピン系」
というチエノジアゼピンを言い換えただけの系の名前を付けて
「レンドルミン」として発売しました。

結局これが大ヒットしたわけですが、吉富製薬はレンドルミンの
基礎骨格を開発したにも関わらず、レンドルミンに関する権利を
一切持っていません。実に勿体ないことです。

吉富はリスパダールに先駆けてクレミンというSDAを開発したのに、
SDAとして宣伝しなかったため、世界的に無名のままになった等、
開発力は高いが商売下手なイメージがあります。
もともと九州にあった武田の子会社だしなぁ…。無理もないですが。

だから合併しまくったのかしら?
今度また田辺と合併して社名変わるっぽいですね。

…話が脱線したので元に戻しましょう。
ともかく、レンドルミンは1985年にドイツでデビューし、
1988年には日本に上陸。ハルシオンに遅れること5年です。

当時、不眠症の通院患者に使えるまともな眠剤はハルシオン位
しかありませんでした。ベゲタミンやフェノバールはきつすぎるし、
ベンザリンやユーロジンは切れ味が悪く翌日に障ります。

ハルシオンでは眠りが浅いし、ユーロジンでは寝付けない。
そんな隙間を埋められ、かつ副作用のほとんど出ない
レンドルミンは実に市場のニーズにあった薬でした。

91年になり、ハルシオンの乱用が問題になると、レンドルミンは
一気に売り上げを伸ばし、日本の睡眠薬市場の3割を占め、
トップシェアに躍り出ます。その後、マイスリーが出るまでの
約10年間、睡眠薬の王座に君臨したのです。

レンドルミンの特徴の一つに、睡眠リズムへの影響が少ないことが
挙げられます。よく比較されるハルシオンは、ノンレム睡眠の
睡眠ステージ(S1~S4)のうち、S2(浅い眠り)を増加させることが
知られています。一見、眠りの質が悪くなりそうな気がしますが、
眠剤併用時のS2増加はむしろ睡眠深度の増大に寄与しているという
報告もあるため、一概に悪いことではないようです。

ところが、レンドルミンはノンレム睡眠のリズムにほとんど
影響しません。メーカーはこれを「自然に近い眠り」と宣伝して
います。確かに自然に近いでしょうが、不眠を訴える人々は既に
睡眠リズムが狂っていることが多く、結果として「レンドルミンは
効かない薬」とのレッテルを貼られやすい状態になってます。

ただ、医師にとっては副作用の少ない薬の方がありがたいのも事実
です。レンドルミンはハルシオンのように記憶や認知の障害を
引き起こすことがほとんど無い、極めて安全性の高い薬だったので、
91年のハルシオンショック(ハルシオンの項参照)にびっくりした
眠剤に詳しくない内科医は、一斉にハルシオンをやめてレンドルミン
に切り替えました。
以後、睡眠薬の第一選択として、長いこと親しまれてきました。

しかし、まともな眠剤を期待する声は多かったと見えて、
2000年にデビューしたマイスリーはレンドルミンを猛追し、
わずか5年で売り上げに並びます。将来的には逆転されるでしょう。

危機感を覚えた(かどうか知らないが)日本べーリンガーは、
2002年に、水無しで飲める口腔内崩壊錠「レンドルミンD」を
発表します。外資系の企業が日本市場の変化に対応して新薬を
出すことは珍しく、べーリンガーがいかに日本を重視して
いるかを見て取れます。

まぁD錠とはいっても主成分は同じなので、ふつうの
レンドルミンをかみ砕いて飲み込んでも効果は同じです。
乳糖のせいでほのかに甘み。上品なお味です。

ちなみにお口で溶ける睡眠薬は今のところレンドルミンDだけ。
寝る前にわざわざコップで水を飲む手間を考えると、
睡眠薬こそ口腔内崩壊錠が相応しいと思うのは私だけでないはず。
アムロジンやフリバスなんかどうでもいいんだよ。

まぁそのうちマイスリーもD錠が出るでしょうから、この
アドバンテージもそう続かないとは思いますが、
なんだかんだ言って無害な眠剤であることを20年間
証明し続けているレンドルミンは、
患者の「効かねー」「騙された」といった
怨嗟の声を浴びつつ今後もしたたかに生き残るでしょう。

まさに一夜限りの甘~いお相手。朝が来たらば他人です。
そんなところが水商売っぽいですよね!(前振り長杉)
by haya by hayanoya | 2007-04-18 23:28 | ちびまる向ちゃんトピ

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