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向精神薬擬人化その8:アモバン
向精神薬擬人化その8:アモバン_f0133373_18322663.jpg一般名ゾピクロン。
規格は7.5mgと10mg。
愛称は「あも姐」。

睡眠薬だけどなんか安心して眠れるって
感じじゃないですね。

「貴様らタマ無しどもに
6時間の生理的休息を呉れてやる。
就寝!起床!
マスカキやめパンツ上げ!」
…って軍曹ぽい感じです。

ということで厳しさアピールのため
委員長タイプ。とすれば当然
「メガネ+前髪ぱっつん」です。

がっちりと制服着こんだ、とにかく厳しい委員長。
愛のある厳しさではなく、なんか苦いの 好きだから、
というストイックでサディスティックな感じ。

セーラで言うミンチン先生?なのでムチは必須。
ニガキの枝とツルから削りだしたすんごい苦い鞭を持ちます。
教授陣も怖くてそれに突っ込めません。

意外と酒もよく飲む方です。好きなのは当然ニガヨモギから
作ったアブサン。フランス生まれですがワインは嫌いみたいです。

エタノールに酔うとメガネが外れてS体になり、更にサディズム
が上昇してボンテージ衣装になるというもっぱらの噂ですが、
その姿を見た者は学園内に誰もいません。
アメリカ人のセプラコールというおじさんが鞭打ちの刑を食らい、
その場で彼女の虜になったとかならなかったとか。

入園時期は比較的遅かったのですが、学園の生徒達からは
畏怖の念を込めて「あも姐」とか「あも番」とか呼ばれています。

フランスから中外おじさんの家に留学に来たのですが、
いつの間にか実家が無くなってしまい、帰れなくなりました。
なのでそのまま中外おじさんの養女として暮らしています。

中外おじさんの家にはスイスの大富豪ロシュおじさんのご令嬢、
ろひの様も留学に来ています。ロシュおじさんの下僕である
中外おじさんは、ろひの様に頭が上がりません。なので
中外家の実権はろひの様が握っています。

ろひの様こそ、名実ともに睡眠薬クラスの女王。
あも姐が軍曹ならろひの様は大佐。さすがのあも姐も学園内で
唯一頭が上がらない相手と言えるでしょう。

義理の姉がろひの様とすれば、義理の妹は舞。
いつの間にやら実家の人々が寄り合い所帯を作ったせいで、
どうやら舞が戸籍上の妹になってしまったようです。
当初、あも姐はあまり舞が好きではありませんでした。

眠剤としての才能はほとんど同じくらいなのですが、あも姐の
キッツイ性格が災いし、教授陣は軒並み舞の方に高い評価を
与えています。それがあも姐的に気に食わないので、
ついつい舞につらく当たってしまうのます。

でも、舞は血統的にべんぞ人ではないため、イマイチクラスで
浮いた存在です。口は悪いけど寂しがりな彼女の面倒を、
従姉妹として義理で見ている内に、いつの間にやら
本当の姉妹みたいになってしまいました。
厳しいようで意外に情に脆いのです。軍曹っぽいですね。



ベンゾジアゼピン系がGABA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に
作用し、睡眠作用を示すことは、わりと早い段階から知られて
いました。要するにそこに引っ付きさえすれば、別に
ベンゾジアゼピンの形である必要はないわけです。

ベンゾジアゼピン系にまつわる副作用、依存や耐性、反跳不眠や
筋弛緩などは、ベンゾジアゼピンという形のせいではないか。

ベンゾジアゼピン結合部位に親和性が高く、かつベンゾジアゼピン
の形を取らない物質を模索した結果、ローヌ・プーラン社は
シクロピロロン系の化合物、ゾピクロンを発見しました。

ハルシオンと同じように作用する睡眠薬でありながら、
筋弛緩や依存性などの副作用は明らかに少なく、
「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」として1987年、フランスで
「Imovan」の名前で華々しく発売されました。

ただ、フランスのメーカーであったローヌ・プーラン社は、
米国での販売提携社を得られず、米国での販売を見合わせました。
このことは、後に日本にも影響してきます。

日本には、1989年に上陸しました。中外と吉富が販売提携し、
名がアモバンに。 一説によれば不眠症の人間のため息「あぁもう
晩」から 名付けられたそうです。あぁなんてしょんぼりな由来。

この薬は、ハルシオンやマイスリーと同じ短時間型睡眠薬で
ありながら、向精神薬に指定されてはいません。

向精神薬指定(マル向指定)とは、社会問題となったハルシオンや
ロヒプノールなど、欧米で乱用された精神作用薬の蔓延を
防ぐために、旧厚生省が米国の基準を見習って作った基準です。

指定を受けると、卸から薬を買うのに手続きが増えたり、
一定の日数しか処方されなくなったりします。実に面倒ですが、
クスリがはびこる病んだ社会を作らないため仕方有りませんね!

…でも、この指定基準は、実際に日本に流通している
薬の内容を十分に吟味して作成されたのでしょうか?

答えは当然「No」。忙しい日本の官僚様はそんなことしません。
さきほど「米国の基準を見習って」と書きました。
つまり米国にはすでにそうした基準(規制物質法)があるわけです。

ならそれをマル写しすればいいじゃん!俺天才じゃね?
ということで、規制物質法がほとんどそのまま日本に持ち込まれ、
1990年に向精神薬を指定する政令として施行されました。

しかし、所詮は米国の法律。日本でのみ販売されている
安定剤のことが記載されているはずもありません。

従って、90年当時に米国で未発売だったデパス・メレックス・
レスタス・コレミナール・アモバン・リスミー等、どう考えても
安定剤とか睡眠剤とかに分類される薬がごっそり抜けてます。

アモバンはフランス産ですが、米国で販売されていません。
従って日本でも向精神薬の規制を免れ得たようです。

一端制定された法律は容易には覆らず、現在に至るまで、これらの
薬は向精神薬の扱いを免れております。
かくて日本はデパスがはびこる社会になりました。どっとはらい。

…まぁデパスはともかくアモバンの乱用による社会問題化という
事態は、まず起こらないであろうと断言できます。

理由は一つ。苦いから。

もう苦いと言えばアモバン。苦さはこの薬のシンボルです。
口に入れた瞬間に広がる得も言われぬ苦み。噛み砕いたりしよう
ものなら、向こう3時間は味覚をパラライズ出来ます。
一気に飲み込んでも油断は禁物。腸から吸収されたアモバンは
血管を介して唾液腺に紛れ込み、じわじわと唾液に分泌。
丸一日食事をアモバン味にしてくれます。

良薬口に苦しといえ、苦すぎる薬は薬として認めてもらえません。
アモバンデビューから1年後の88年、フランスのサンテラボより
STILNOX(=ゾルピデム。和名マイスリー)がデビュー。

どちらもベンゾジアゼピン骨格から離れた画期的な睡眠薬であり、
ベンゾジ特有の副作用も少なく、効果もほとんど同じであるのに、
片方は長い間米国で発売すらされず、片方は米国睡眠薬市場の
8割のシェアをさらった超大物に成長しました。

この違いは何かと言われれば、もう「苦み」でしかあり得ませんね。
薬はただ効けばいいと言うものではないという教訓でした。

米国では2005年になってようやく、アベンティスからゾピクロン
の販売権を買い取ったセプラコール社が、より純粋な成分として
S-ゾピクロンを抽出し、「ルネスタ」として発売しました。

ルネスタは力価を3mg/錠程度に上げることで、苦みの副作用を軽減
させたとされています。
が、やっぱり苦いようで、先行するアンビエン(=マイスリー)や ソ
ナタには、売り上げ的にかなわないようです。

今までの睡眠薬=ベンゾジアゼピン系という常識を打ち破り、
シクロピロロン系という新しい可能性を開拓したか見えましたが、
引き続き開発予定だった抗不安薬も効果が弱すぎてボツになり、
結局この苦い系統はゾピクロン一つと言うことになりそうです。

ちなみにアモバンを作ったローヌ・プーランも、マイスリーを
作ったサンテラボも、今はこの世に存在しません。

ローヌ・プーランは独HMLと合併しアベンティスに、サンテラボ
は仏サノフィと合併してサノフィ・サンテラボになりました。
そして2004年8月、アベンティスとサノフィ・サンテラボは
合併してサノフィ・アベンティスという、世界第2位の
メガファーマになってます。あぁややこしい。

つまりアモバンとマイスリーは今や同じ会社が製造してるんです。
なんという歴史の皮肉。昨日までけなしていた薬を売らなければ
ならない営業の人も大変ですよ。

日本ではサノフィがアベンティスから買ったアモバンの販売権を、
ロシュの子会社の中外に売り渡すという更に訳分からない状態に
なっているので、ダサダサの中外パッケージで売られています。
三菱ウェルの水色パッケージも多少流通してますがレアです。
持っている人はラッキー。

さて、世界的に人気のないアモバンですが、日本ではマル向指定
でないので14日の投与制限が無く、医療機関的にはデパスと
並んで優等生な薬です。
苦みの方も、唾液分泌の少ないお年寄りは気にならないらしく、
副作用の少なさも併せ、高齢者の方々にそこそこ人気が高いです。

このコラムで、15回位苦いって書きましたね。とにかくそういう
薬です。眠剤コレクションをするなら一度は味わっておきたい
ですよね。寝付きの悪さでお悩みであれば、是非お医者様に
「あの苦いの」とお願いしてみてください。意外と癖になるかもよ。
by haya by hayanoya | 2007-04-30 18:36 | ちびまる向ちゃんトピ
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