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向精神薬擬人化その18:サノレックス
原チャリで走ってたらガードレールで足の甲をすっぱりやってしまいました。
もう血が全然止まらねぇの。図らずもリストカットな気分を味わってしまった…。
そんなわけで更新が遅れに遅れております。今回はサノレックス。

向精神薬擬人化その18:サノレックス_f0133373_546379.jpg一般名マジンドール。
規格は0.5mg錠のみ。
愛称は「さにぃ」。

サノレックスという薬の特性上、
キャラのコンセプトは「拒食症の少女」。

病的な美、というイメージに
合うのはやはりゴスロリ。
でも外箱が緑色なので、緑のゴス服という
およそあり得ない変な色合いになりました。
でも不健康そうなのでこれはこれでいいか。

向精神薬擬人化を考えていた最初期に思いついていた
キャラですが、多分デザインが非常に面倒だろうと思い、
今まで放置してました。予想通り面倒きわまりない服です。

ついでに、今まで描いてなかった縦ロールもこの際だから
くっつけてしまえと考えた結果、もう二度と描きたくない姿にw
髪のグラデは外箱に描かれている富士山?から採ったものです。

描くのに手間がかかると言うことで高い薬価を表現しまし…
…その設定は今後凄い自爆になりそうなのでナシの方向で(汗

Sunnyという名前はブラックジョークかと思うくらい、
見た目通りの陰気な性格です。太陽の光はむしろ苦手。
食事を取らないので顔色も悪く、口数もほとんどありません。
周囲には人魂も飛んでいます。これはひそかにノバルティスマーク。

最近の目標は体重20kgを割ることだそうですが、あまりに空腹で
フラフラなので、絶えずお腹を押さえています。
しょっちゅう貧血で気絶していますが、倒れても縦ロールが
自律意識を持ち、蠕動で移動できるので不便はないようです(!?

特殊な薬なので、その他扱いのCクラスに編入されてます。
形の上では精神賦活薬に属しますが、その力はりたに較べると
非常に弱く、学園からは余り危険視されていません。

むしろしょっちゅう倒れるので、別の意味で心配されています。
彼女専用のメディカルチームが存在し、保健室にも彼女用の
個室があるなど、他の生徒に較べ数倍のコストがかかっています。
そんなに心配なら飯を食わせろよ、とみんな思ってますが、
拒食は彼女の力の源泉であるため、それはできないのです。

学園生活の半分以上を保健室ですごしているので、友人と呼べる
存在はいません。彼女自身も人付き合いを好まないので、人間関係は
極めて希薄です。ただ、その病弱っぷりが庇護欲を刺激されるのか、
保険医のアミノフ=リード先生には大層気に入られているようです。




サノレックスは食欲抑制剤という、他には類を見ない特殊な
向精神薬です。どちらかと言えば向精神薬というカテゴリよりも
バイアグラやプロペシア等と同じく、生活改善用の薬と言えます。

薬価は212.5円と、マル向の中では非常に高い部類に当たり、
モディオダールが発売されるまでは最高額マル向でした。
しかも保険適応されるのはBMIが35以上。身長150cmの人なら
79kg以上で、なおかつ適正な食事と運動により治療出来ない人のみ
という、かなり限定された条件になっています。

勿論、ダイエタリードラッグとして使うならこの条件は厳しすぎる
ので、美容クリニックなどではもっぱら自費で取り扱われています。
1錠500円~1000円が相場のようです。自費だと医療機関の言い値に
なるので、値段はまちまちです。普段在庫していない薬局だと
高くなるでしょう。不良在庫のリスクが増えるからね。

サノレックスは1967年、米国サンドファーマ社で開発されました。
さすが世界一の肥満国家。肥満抑制剤の需要も高いです。
Sandoz社のAnorexiant(食欲抑制剤)で、SANOREX。全く別の用途で
開発され、転用されることが珍しくない向精神薬の中で、
最初から肥満抑制という目的で開発されたことが見て取れます。

欧米ではもともと、食欲抑制にアンフェタミン類を用いていました。
所謂覚醒剤です。アンフェタミンを服用するとノルアドレナリンの
放出が促進され、精神が賦活します。同時に摂食中枢が抑制され、
食欲が湧かなくなります。シャブ中がガリガリに痩せる道理です。

アンフェタミンをそのまま使うのは超ハイリスクなので、より
安全性を高めた食欲抑制剤が求められました。色々アンフェタミン
の近縁物質を模索した結果、何とか近年まで生き残ったのが
フェンフルラミン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、
シブトラミン、マジンドール(=サノレックス)の5種類です。

フェンフルラミンは以前、フェンテルミンとの合剤として
最も効果的な食欲抑制剤と言われ、1996年には米国で1800万回を
超える処方量を得ました。しかし心臓弁膜症など致命的な副作用を
引き起こすリスクが判明し、翌97年に販売中止されました。
フェンテルミンは米国で生き残ってはいますが、日本では第3種
向精神薬に認定されており、個人輸入できない薬になっています。

ちなみに肝疾患で騒がれた中国製のダイエット薬に入っていたのは
N-ニトロソフェンフルラミンという、フェンフルラミンのパチ物
です。フェンフルラミンが規制物質なので、これを偽装するために
亜硝酸を付加した結果、より毒性の高い物質になったわけです。
これが中国クオリティ。

フェニルプロパノールアミン(PPA)は2003年に消えました。
脳卒中のリスクを高める物質として、米国FDAが2001年に
販売中止を決定したことを受け、日本でもPPA含有医薬品に
対する逆風が高まったのです。日本ではダイエット用ではなく
鼻炎治療薬として用いられていましたが、過量服用による
脳出血が何例か報告された後、薬害認定を求める声が上がり、
一般用、医療用ともにPPA含有医薬品の発売が中止されました。

個人的には、医療用PPAまで無くす必要は無かったと思います。
ダン・リッチが無くなって苦しんだ鼻炎持ちが私を含めて何人
いたか…切れ味が悪いのに薬価だけは高い抗アレルギー薬が
幅をきかせている現在の状況に納得がいきません。

エフェドリンも風邪薬です。生薬「麻黄」の主成分です。
上記2種が規制された後、安全性の高いハーブ系ダイエット薬と
して、「エフェドラ」の名で販売されました。しかしこれまた
乱用による心疾患や脳卒中の副作用で100人以上の死者を出し、
米国で2004年に販売中止となりました。これを受け、日本でも
個人輸入することは法律上不可能になりました。

シブトラミンは「メリディア」の名でアボット社より販売され、
現在も生き残っている薬です。SNRI的な抗うつ薬として開発
されましたが効果が弱く、食欲抑制剤に転用されました。
エーザイが日本における販売権を取得しており、2008年4月に
デビューする予定です。
ただこの薬も、高血圧になるリスクが高く、処方医の元で
慎重に使う必要がある薬です。

こうして見ると、アンフェタミン程でないにせよ、摂食中枢に
作用する薬はリスキーな物ばかりであることが分かります。
サノレックスはどうなのでしょう?
サノレックスの構造上の特徴は、イソインドール骨格です。

フェンフルラミンやPPA、エフェドリン、シブトラミンは、
フェネチルアミン骨格という、アンフェタミンによく似た
構造をしています。従ってその挙動も類似しており、
血管系の副作用を示すことも共通しています。

しかし、サノレックスはこれらの物質とは構造式からして
異なります。ノルエピネフリンの再取り込み阻害という
部分的な薬理学挙動は似ていますが、アンフェタミン
系統に見られる覚醒感・多幸感はほとんどありません。

むしろ口渇や便秘など、抗コリン薬に近い副作用が
出やすいようです。糖代謝亢進による熱っぽさも加え、
ちょうど風邪を引いて食欲が無くなる、と言ったような
感じになります。咳や鼻水は出てきませんが。

これなら乱用する気にもなれませんね。
販売元のノバルティスは毎年のように「適正使用のお知らせ」
を発行していますが、正直ジャンキー達には人気のない
薬だと思います。そもそも高いし。

投与限度は3ヶ月で、それ以上服用すると肺高血圧症の
リスクが高くなると言われています。ただかなり耐性が
つきやすい薬なので、費用対効果を考えると3ヶ月続ける
人はあまりいないような気もします。

総合的に見て、フェネチルアミン系の食欲抑制剤よりは
安全ですが、効果は普通で値段が高いという感じでしょうか。
余り人気はない薬です。ノバルティスも全然宣伝してないし。

今後、メリディアやゼニカル、アコンプリアが日本に上陸
するようになれば、早々に忘れられる薬になるでしょう。
それとも薬価が下がって、かえって人気が出るかな?
by haya by hayanoya | 2007-06-02 05:49 | ちびまる向ちゃんトピ
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