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ちびまる向ちゃん(100)
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一般名ペンタゾシン。 規格は25mg錠、及び注射。 愛称は「扇」。 ヘロインの親戚みたいな薬なので、 退廃的な雰囲気が欲しいと考え、 おいらん風味にしてみました。 キセルの中身は煙草ではなくアヘ(ry …紅葉っぽい柄はアステラスマーク。 服の色合いはソセゴンパッケージがベース。 かんざしにはソセゴン錠が刺さってます。団子になっていて食べれるらしい。 さしてる和傘はmixiの年賀イラストに描いた物の流用です。 何でも取っておくものだ。 れきそはあの時、扇に和傘を借りていたんですね。 この傘はデバイスになっており、彼女がダウナー系魔法を使う時に 補助具として用いられます。デバイス名は「シキジツ」(嘘) 用いる魔法の主性格は鎮痛であり、向精神薬としてカテゴライズ されている者の中では異端とされ、Cクラスに在籍しています。 とはいえ、ベンゾジアゼピン類とは次元の違う鎮静力を備えている ため、アッパー系のりたと共に、学園の双璧と謳われています。 しかし性格は正反対で、しょっちゅう学園を抜け出して問題行動を 起こすりたに対し、扇は教室からほとんど出歩きません。 教室の一角を占有して赤布団を重ね、絶えずキセルを燻らせてます。 学園を「廓(くるわ)」、教室を「見世(みせ)」と呼び、 ありんす言葉をしゃべるその独特すぎる世界観に、教官たちは何も 突っ込めません。何にせよ学外での問題行動の頻度は比較的少ない ので、危険度分類では第二種に設定されています。 でも性格はかなり凶悪です。気に入った教官や被験者がいれば、 魔法をかけて骨抜きにし、廃人にしてしまいます。不用意に 彼女に近づいて事件が起こることが多発したため、男性は 半径10メートル以内に踏み込まないという不文律が出来ています。 同じクラスの連中を、禿(かむろ)だの番頭だのと呼んでおり、 クラス内での評判は良くありません。Cクラスは排他的な連中の 巣窟ですが、その中でも飛び抜けて変な存在です。 唯一、座剤であるれぺタンだけを、自分に対等な存在と認めて いるようですが、れぺタンもまた同級生の尻ばかり追いかけている 変態レズっ子なので、セットで浮いています。 ケシの未熟果から乳液を採取し、乾燥させた粉末を阿片と言います。 16世紀にパラケルススが阿片をチンキ剤に加工して以来、阿片は 鎮痛・鎮静・催眠・止瀉など様々な用途に用いられてきました。 1805年、フリードリヒ・ゼルチュルナーの手によって、阿片から モルヒネが精製されました。アスピリンやペニシリンに代表される 近代薬学は、このモルヒネの分離成功から始まりました。 1853年、アレクサンダー・ウッドによる皮下注射法の確立と共に、 モルヒネは戦傷者に対する鎮痛剤として広く用いられるようになり、 それと同時に大量の精神的・肉体的依存者を生み出しました。 世界初のモルヒネ中毒者は、ウッドの奥さんらしいです…。 以後、モルヒネの強力な鎮痛作用を維持しつつ、その精神作用を 打ち消そうとする、並ならぬ努力が重ねられます。 今では麻薬の代名詞の様に扱われるヘロインも、当初はモルヒネ よりも安全性の高い薬物を求めた結果合成されたものなのです。 ソセゴンの活性本体であるペンタゾシンも、その流れの中で 合成された薬物です。ペンタゾシンにはモルヒネ程の鎮痛作用は ありませんが、モルヒネに見られる陶酔感・多幸感は少なく、 大量投与ではむしろ不快感を引き起こすため、世界保健機関(WHO) の依存性薬物専門委員会は1966年、これを麻薬規制外としました。 1967年、ペンタゾシンは米国スターリング・ウィンスロップ社より 注射剤として発売されました。その後、山之内・三共・グレランが 日本での販売権を獲得し、1970年に販売を開始しました。 (山之内がソセゴン、三共がペンタジン、グレランがペルタゾン) モルヒネやその類似物質が、何故鎮痛作用や精神作用を起こすかは、 長い間謎とされていました。しかし1973年、オピオイド受容体が 特定され、モルヒネなどはここに作用することで、鎮痛や呼吸調節 に関わっている事が判明しました。 オピオイド受容体はμ(ミュー)/κ(カッパ)/δ(デルタ)の3種類 に大別されます。一番重要なのはμ受容体で、脳幹・延髄・ 大脳辺縁系・腸管などに分布しています。これを刺激することで それぞれ鎮痛・鎮咳(呼吸抑制)・多幸感・止瀉(便秘)を起こします。 モルヒネやヘロインはμ受容体に強く結合することで、強力な 鎮痛作用を発揮しますが、同時に多幸感や便秘などの副作用を 示します。また延髄の嘔吐中枢を刺激し、吐き気を催します。 ヘロインの初期摂取時に嘔吐を繰り返すのは、この嘔吐中枢への 刺激のためと思われます。数回摂取を繰り返すと嘔吐中枢が 麻痺し、多幸感を味わえるようになります。 これはペンタゾシンでも同様で、服用初期は気分が悪くなったり 吐き気がしたりと、不快な気分を味わうことが多いようです。 付き合うまでに数回の精神的コストを払わなければならない、 これもソセゴンをおいらんに描いた理由の一つです。 (茶屋で宴会を数度開き、茶屋の取り次ぎで座敷入り。座敷で 初会・裏という二度の顔合わせを経て、三度目で初めて おいらんとの床入りを許される ―以上、花魁wikiより) ペンタゾシンはモルヒネ等と異なり、μ受容体への作用は弱く、 κ受容体への作用が強い薬です。κ受容体の鎮痛作用は μ受容体より弱く、依存性の形成にはむしろマイナスに働きます。 ペンタゾシンを過量投与するとκ受容体を強く刺激し、 不快感や不安、悪夢などのネガティブ症状が出てきます。 一方で、κ受容体の鎮静作用はμ受容体より強いです。このため ペンタゾシンは安定剤・睡眠剤としても作用します。 もちろん、ベンゾジアゼピン類の方がはるかに安全なので、 ペンタゾシンを鎮静目的で使うことはあり得ません。 スターリング社は1969年、経口摂取が可能なペンタゾシン錠を発売 します。しかし、注射に較べて入手が容易であるこの錠剤を溶解し、 静注するなどの乱用が相次いで起こりました。 そこで、ペンタゾシンの作用に拮抗するナロキソンを錠剤に混ぜる ようになりました。経口摂取だと、ナロキソンはすぐに肝臓で 分解され、効果を失います。しかし溶解して静注すると、その 効果を発揮し、ペンタゾシン活性を消失させるのです。 数多ある向精神薬の中で、こんなジャンキー対策が取られている のはペンタゾシンだけです。ヘロイン類似物質に対する米国の 対応は、日本人の想像を絶するものがありますね。 このペンタゾシン/ナロキソン合剤が発売されたのは1983年です。 その3年後の1986年、癌の疼痛治療法がWHOによって定められました。 これにより、癌疼痛に処方される鎮痛剤は3段階に分類されます。 第1段階:アセトアミノフェン・アスピリン等の非オピオイド剤 第2段階:弱オピオイド剤単独、または非オピオイド剤との併用 第3段階:モルヒネなどの強オピオイド剤 ペンタゾシンは弱オピオイド剤に属します。このガイドラインが 設立されると、非麻薬性であるため管理が容易なペンタゾシンの 錠剤版が、日本でも求められるようになります。こうして ペンタゾシン/ナロキソン合剤は1997年、日本で認可されました。 しかし、認可から10年経った今、ペンタゾシンは疼痛治療に対して 余り使われていません。効果があまりに短すぎるためです。 24時間持続する癌疼痛に対処するために、1日何回も投与すること になり、結果として副作用のリスクが増大します。また肝心の 鎮痛作用も弱く、過量投与のリスクも出てきます。 疼痛のひどい患者はκ受容体系が亢進しており、モルヒネを積極的 に使用しても依存は起こりにくい事が分かってきた昨今では、 癌疼痛治療の第2段階を飛ばし、第1と第3段階の治療を行うことが 主流になっています。 ペンタゾシンは結局、モルヒネを過剰に恐れていた時代が 生み出した徒花でした。非麻薬性の経口オピオイド作動薬と 脚光を浴びながら、安全性も有効性も疑問視され、結局鎮痛剤の 主流から外された薬。花街の悲哀が滲んでくるようです。 「所詮わっちゃぁ女郎花。手折って生けて愛でられりゃ、 末ゆく路も分かりんす」などと、 お扇姐さんが達観するのも無理はないのかもしれませんね。 |