以前の記事
2018年 04月 2017年 11月 2017年 05月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 10月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 01月 2015年 09月 more... タグ
ちびまる向ちゃん(100)
クスリあれこれ(39) 薬剤師(11) 薬の擬人化(9) 漫画(6) 頂き物(5) アモバン(3) リボトリール(3) ロヒプノール(3) パキシル(3) エビリファイ(2) マイスリー(2) エバミール(2) ルネスタ(2) Sonata(2) ジェイゾロフト(2) デパス(2) ラミクタール(1) ドラール(1) ドグマチール(1) ライフログ
検索
お気に入りブログ
Favorite Link
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
明けましておめデパス!(商標:クソザっ娘通信) 昨年初めに買ったまま放置していたHoI3を引っ張り出していじってたら はまってしまい、泥沼の対ソ連戦の最中に年が明けました。 皆様におかれましては、良い一年をお過ごしになりますようお祈り申し上げます。 年末のドサクサに紛れて、コンサータの適応年齢が成人に拡大したようです。 2013年12月20日以降、成人でもメチルフェニデートが使えるようになりました。 2007年12月にリタリンの成人適応が削除されたので、丸6年ぶりですね。 薬局で調剤するためにはe-ラーニングの追加講習が必要とのことなので、 先週講習を受けてきたばっかりです。と言っても大した内容ではないですが。 ●コンサータの用量換算は、リタリンの3.6倍。 →リタリン20mg/日だった場合、コンサータは72mg。そしてこの量が上限量。 ● →やっぱり出ました(泣 まぁ36mg=リタ10mg相当なので成人には使いやすいか。 ●DSM-5基準で、成人AD/HDの診断は、小児AD/HDよりちょっとだけゆるい。 ●DSM-Ⅳ-TRでは広汎性発達障害とAD/HDの併存は認められなかったが、 DSM-5では認められるようになった。 (広汎性発達障害は自閉症スペクトラム障害に統合された) ざっとこれだけです。ぶっちゃけ6年前にリタリンでこの制限をしておけば はるかに安い薬価で済んだじゃねーかと思わないでも無いですが、 AD/HDという概念自体DSMの産物なので、DSM改訂まで動けなかったというのも あるのでしょう。何はともあれおめでたい。 とはいえ、昔みたいにメンタルクリニック行けばコンサータ乱発してくれるのか と言うとそうではなく、コンサータ適正流通管理委員会で認定された医師しか 処方できないので注意。医師によってはアッパー薬ジャンキーが群がったり マスコミに目を付けられたりするのがイヤで、あえてこの認定を受けてない方も おられます。自分の担当医に一度聞いてみるとよろしいかと思います。 2012年の8月には、すでにストラテラが成人AD/HDに適応を取っているので、 今後はストラテラとコンサータの抗争がますます熾烈になることでしょう。 ストラテラ40mg仕様のすてらさんとこんさーれでぃで賀正絵を一筆。 ウマ年なので乗馬…中枢において馬といえば ヽ(*゚д゚)ノ < カイバー だっ!
楽天日本一おめでとうございます。さっそく楽天サイトに行こうと思ったら
二重価格詐欺とか言われてるじゃないですかーヤダー! …まぁミキタニだしな。 話変わって、最近ルンドベックと仲の良い大塚製薬が新しい減酒薬の 国内開発に着手したようです。ルンドベックとの共同開発はメンテナ、 抗うつ、抗アルツハイマーに次いで4つ目。ていうかルンドベックの CNS薬の開発力すげぇな。ガイギー、ロシュ、アップジョン、リリーときて 今度はルンドベック王朝の時代になりそう。 大塚製薬とルンドベック社 減酒薬「nalmefene」(ナルメフェン)の日本における共同開発・商業化を合意 ナルメフェンは昔から存在していたオピオイド拮抗薬のナルトレキソンを 改良したものです。ナルトレキソンの6-ケト基をメチル基に交換することにより、 半減期の増加やバイオアベイラビリティ向上、肝毒性の軽減、依存性の回避など 全般的な性能を向上させたものと言われております。 オピオイド系ということでソセゴンとの関連を想起させますが、あっちは刺激薬。 こっちは拮抗薬です。ソセゴンはペンタゾシンの活性を弱めるためにナロキソン という枷がはめられてますが、ナルトレキソンはそれとほぼ同じ構造式を 持っており、μおよびκ受容体を遮断するという効果も同じです。 アルコール依存になぜオピオイド拮抗薬が有効なのかはよく分かっていませんが、 アルコールを摂取することで脳内麻薬の産生が向上するため、それらによる 脳内報酬系の活性化を防ぐと想定されています。 従って、ナルトレキソンは脳内報酬系が問題になる他の病気、たとえば買物とか ギャンブルの依存症治療にも有効では無いかと言われており、それはそのまま ナルメフェンにも引き継がれています。ナルメフェンはセリンクロと言う名前で アルコール依存治療薬として今年の4月に欧州で認可されたばかりですが、 他の依存症治療の有用性も調べられています。将来的にはパチンコ依存症も 病気と認められて治療対象になるかも? …そういえば、なんか今年は日本で減酒薬がひとつ発売されていたような。 鳴り物入りの薬理で日本新薬にプロ入りしてたっかい薬価つけて1日6錠も 飲まされるのにプラセボと10%くらいしか効果の違わない奴。さいてょのような 違う意味であかんプロ。アカンプロ…アカンプロセートや!(わざとらしい 商品名はレグテクト。愛称は思いつかないのでれぐてちゃん(仮)で。 ノイズが多くて薬効が十分に発揮できないから町医者には使って貰いたくない とおっしゃるチキンな日本新薬のおかげで未だに処方は回ってきませんが、実際 効いてるんでしょうかね?最初聞いた時は第二のチャンピックスか?と思うほど 衝撃的だったのですが…いかんせん中枢の弱い日本新薬では持てあましそう。 トラマールの市場がトラムセットに喰われたように、レグテクトの市場も この大塚ナルメフェンに喰われてしまうのではと思うと泣けてきます。 多分発売に3年くらいかかるから、さっさとシェアを固めてしまうんだ! でないと来るぞ!あかんやつ来るぞ!舘ひろし使って宣伝されるぞ!(違 …とはいえナルトレキソンも全然効果無いという論文があったりで、禁酒に おけるナルメフェンは、禁煙におけるチャンピックスほどに劇的な効果は 起こさない気がします。ニコチン受容体の機能異常さえ治せば正常化する ニコチン依存と異なり、脳のぬか漬け状態がずっと続いていたアルコール依存 では脳の構造自体が変化しています。ナルメフェンは「飲んでも気分が良く ならない薬」であり、アカンプロセートは「飲みたい気分を減らす薬」です。 チャンピックスはこの2つの効果を備えているので、チャンピックスには及ばず とも同様の薬理を得るためには2種を同時服用する必要があります。 アルコール依存はどれだけ長く断酒しても、一杯でも飲んでしまうと依存性が 復活するやっかいな病気なので、飲酒衝動を抑えるにはアル中病棟や断酒会 などの社会的な矯正力を非常に長期にわたって受け続けなければなりません。 この社会的矯正がどんだけしんどいかは、吾妻ひでおの漫画「失踪日記」や 「アル中病棟」でも読んでもらえれば十分に分かるかと思います。 アカンプロセートとナルメフェンは結局この社会的治療の補助になりこそすれ、 チャンピックスのようにそれだけで完結する治療にはならないのではないかと 思います。ただ、飲酒衝動の低下に加えて、たとえ飲んでも快感が得られない 状態が続くなら、飲酒動機も減る可能性があります。今までのように「一杯でも 飲むとアウト」という緊張感のある依存症の定義は変わっていくかもしれません。 アカンプロセートは一発でも打たれたら役立たず扱いされる可哀想なピッチャー ですが、たとえ打たれてもナルメフェンがきっちり守備を固めてくれるのなら 安心して投球に専念できますね。「野球」が「ワンナウト」と一番違う事、 それは…一人じゃない事!!…まぁ守備がそろうのは当分先なので、それまでは れぐてちゃんに一人で頑張って貰いましょう(鬼 孤軍奮闘なれぐてちゃんは、以前のエントリにあった烏羽玉さんの野球選手ネタに インスピレーション受けて作らせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
ボーッとドル円チャート見てたら前回の更新から4ヶ月が過ぎていてびびった。
いつの間にか夏アニメが終わって秋アニメが始まってるよ! 今のところキルラキル・凪のあすから・夜桜四重奏が今期TOP3ですね。 アルペジオは原作ファンガッカリ物だと思ってたけど結構いい出来。 なお艦これブームのせいで軍艦擬人化業界が混乱している模様。 薬擬人化もブラウザゲーム化してブームになってくれないもんかねぇ。 そんな私のメンタル…もとい、メンヘルモデルが収録された擬人化本が だいたい完売しました。Eクラス編はまだそれなりに残ってますが、A~Dが 完売したのでおそらく足は止まるでしょう。 なので通販時にオマケでやってた好きな薬アンケートの集計を行いたいと 思います。C/Dクラス編再版の時に集計するの忘れていたので、今回のは 2年分の合計です。ではどーぞ! はい、でぱ子さん圧勝です!25票獲得で前回2位からトップに返り咲き! やはり日本人とは切っても切れない薬。ジャパニーズエッセンシャルですね。 2位はEクラス編発売の影響でしょうか、ラミクタールが票を伸ばしており、 ロリっ子が1・2フィニッシュを飾るという誠にウチのブログらしい結果となりましたw 3位のエビリファイは2013年集計で最も票を伸ばし、圏外から一気に大躍進です! 内資の薬はやっぱり応援したいですね。適用が広がったのでこれからも期待です。 同率3位のサインバルタは上位の常連。これもいちおう内資の薬になるのかしら。 やたら可愛いピンクのカプセルと不釣り合いなバカ高薬価のギャップにメロメロです? 同じく常連だったレメロンはランクダウン。さすがにインパクトが薄れてきたか。 ジェイゾロフト・レクサプロはマイルドなロングタイプSSRIでどちらも堅実な人気。 レクサプロの売上はちょっと苦戦してるみたいですが、ジェイゾロフトも最初そんな感じ だったので大丈夫!? 不安障害に適応を広げて一気に顧客を伸ばしたいところ。 ハルシオンが堅実に票を稼いでる一方で、三大ロリっ子の一人であるマイスリーは トップ5から転落です。ジェネリックが発売されると人気が落ちるの法則。ジェネの ゾルピデムOD錠「KN」は意外と苦みもなく水無しで口内で溶けるのでおすすめ。 マイスリーの苦みがイヤな人は試してみるもご一興。どや宣伝したったぞ小林化工! パキシルはCRが発売されてもランクダウン。これもジェネリックでたからな…。 まぁ元々不人気な薬なので妥当なところでしょう。レキソタンはあと一歩でトップ10に 食い込めたのになぁ。ベンゾジが減って抗うつ/抗BD剤が増えたのも時代の流れか。 今回は最後の集計なので各クラス別ランキングもついでに集計します。Cクラスは ほとんど上がらなかったので除外。DとEに集中したのでこの2クラスはトップ10で。 …A/Bクラスはおそらく今後もほぼ変わることの無い順位でありましょう。鉄板です。 Dクラスは最近の薬ばかり上位に来ているので、今後新しい抗うつ薬が発売されるに 従ってランクが変動するものと思われます。とりあえず武田/ルンドベックの ボルチオキセチンや、大塚のブレクスピプラゾールあたりが有力候補。 抗うつ薬は外資ばかり目立っていたので、内資の巻き返しを期待したいですね。 双極の治療薬は創成するというよりも発掘するという感じなので、Eクラスランキングも あまり変動はないかも。今後の発展は大日本住友のルラシドン日本逆上陸、 セロクエルの徐放錠発売(と同時に双極適応追加)あたりでしょうか。統失系ばかり でなく他の分野の発掘も頑張って欲しいところです。高い薬ばかりでなくデパケンや リーマスも外すことが出来ないのがEクラス編の面白い部分なので。 という事で、薬の擬人化をこれから目指される方に参考にして頂けると幸いです。 以下にアンケート全結果を記しておきます。 トップ10が擬人化出来てる薬でよかったよ! 私の今年のフェイバリット薬はディレグラでしょうか。馬鹿にしてたけど意外と 鼻炎も収まるし眠気も出ないし小青竜湯より飲みやすい! どや宣伝したったぞサノフィ! デパス25 ラミクタール17 エビリファイ14 サインバルタ14 ジェイゾロフト13 ハルシオン12 レクサプロ12 レメロン/リフレックス11 マイスリー9 パキシルCR9 レキソタン8 デパケン/R8 アモキサン7 ジプレキサ7 リーマス6 リスパダール6 リリカ6 リボトリール5 ロヒプノール5 コンスタン/ソラナックス5 セロクエル4 デジレル/レスリン4 レンドルミン4 トレドミン4 メイラックス4 ベゲタミンA4 モディオダール3 アナフラニール3 ドグマチール3 トピナ3 トラムセット3 バルネチール3 ロゼレム3 ワイパックス3 アモバン2 セレネース2 テグレトール2 ホリゾン2 ムコスタ2 リタリン2 ルボックス2 レグナイト2 レボトミン2 ロナセン2 アイミクス1 イルベタン1 インデラル1 エバミール1 エンシュアコーヒー1 葛根湯1 ガバペン1 グリベック1 ザイボックス1 ザンタック1 ジオン1 西瓜糖1 ストラテラ1 ゼプリオン1 ソフティア1 タケプロンOD1 トリセノックス1 ドルミカム1 ニューレプチル1 ノリトレン1 ノルレボ1 プラミペキソール1 ブリプラチン1 ベタナミン1 ミニリンメルト1 ヨーデル1 抑肝散1 リレンザ1 ルーラン1 ルジオミール1 ルネスタ1 ロルカム1
去年までならここら辺で夏コミ当落の発表でもしてたんですが、
今年は何をするでもなくダラダラと怠惰に春アニメを消化してます。 あ、冬コミの通販はまだ普通に受け付けておりますですよ。 気がつけば3ヶ月も放置していたので、リハビリがてら向精神薬関連のニュースでも。 去る5月24日の薬食審にて、既にエビリファイの適応拡大が認められて いたのですが、このたびようやく添付文書上にもうつへの適応が記されました。 今後はレセプト上でもうつエビレシピが認められるようになるので、 最近やたらと厳しい突合点検の網にエビが引っかかることは無くなるでしょう。 なにげに統失・双極・うつの三大精神疾患全てに適応を取得したのは、国内で エビリファイが初めてではあるまいか。いえーいエビちゃん大勝利! …双極は躁のみだし、うつは補助療法だし、統失には使いづらいけどな! 今回みとめられたうつの補助療法とは、あくまで抗うつ薬によって十分な効果が 認められない場合に、抗うつ薬と併用で処方可能という奴です。エビリファイは 少量でドパミン賦活効果があるため、セロトニン・ノルアドレナリンを上げても ダメっぽい場合に用いられます。3mgから開始し、上限は15mgまで。 統失や双極の24~30mg用量に比べ、サイフに優しい使い方です。 海外で一般に用いられているドパミン系の抗うつ薬であるブプロピオンや モクロベミドが未だに日本では使えないため、ドパミン賦活剤として アモキサン・ドグマチール・ジェイゾロフト・レメロン等が使われます。 他の受容体に大きく影響するアモキサンやレメロン、プロラクチン系の副作用が 気になるドグマチール、賦活剤というには少し弱いジェイゾロフトに較べると 副作用が少なくドパミン以外にほとんど作用を持たないパーシャルアゴニストの エビリファイは、有望な選択肢になるでしょう。 というか、既に臨床ではかなり適応外で使われていたのではないかと思います。 エビリファイを単剤で統合失調症に使うのはかなり難しく、治療初期から D2受容体を押さえ込む用量を見極めなければ簡単に症状を悪化させてしまいます。 その点うつに対しては、少量から開始するという分かりやすい使い方が可能です。 日本にはドパミンを遮断する薬は山ほどありますが、ドパミンを上げる薬は 限られており、エビリファイにその働きを期待する人は数多くいたはずです。 ところがレセプト審査の機械化に伴い、高額医薬品の適応外処方に対する査定は 昨今非常に厳しくなっています。ジプレキサ・エビリファイなどはその筆頭で、 かつてなら通っていた処方が、昨年より始まった突合点検でばしばし斬られており、 一番エビリファイが活躍できそうな分野で普通に使えないという歯がゆい状況が ずっと続いていました。今回の適応追加で、エビリファイは発売後7年目にして ようやく足枷が取れ、精神科の各領域を自由に走り回れるようになったのです! いやーめでたい。喜びのあまりエビちゃん広告まで描いてしまいました。 マイルドなファーストにジェイゾロフト、不安が強ければレクサプロ、 ちょっと強めでレメロン・サインバルタ、ドパミンのアクセントにエビリファイ、 それでもダメなら三環系…と、日本の抗うつ薬もかなりバリエーション豊かに なりましたね。後はセロクエルの徐放錠が双極うつの適応を取得すれば、海外の プロトコルにもそうそうひけは取らないのではないかと思います。 もううつと言えばパキシル!という時代は終わったんでしょうかぱきるさん? はい激おこです。仲村ぷんぷん丸です。 にしても惡の華面白い!「アニメって萌えだけじゃねーから」とかのたまってる 私のような高二病患者にはどストライクです。Blu-ray購入検討中!
ちょっと古い記事ですが…
マイスリーで記憶力がアップするそうです。 眠剤は記憶を飛ばす!という固定観念が覆った!…のか? 睡眠薬を飲むと記憶力がアップ!!認知症等の治療にも期待:米大学研究 「脳内の海馬で睡眠紡錘波が記憶を構築していくメカニズムが明らかになり、 ゾルピデムがその作用を促す」というのが明らかになったそうで。 さっそく舞さんが眠りに入ったようです。 胸は関係ないぜ? 睡眠紡錘波というのは、ノンレム睡眠のステージ2段階で現れる脳波の一種で、 脳が情報伝達の活動を行っている証とされています。記憶というのは一時的に 海馬にて保存され、睡眠紡錘波出現中に大脳新皮質に伝達されます。 大脳新皮質に送られた記憶は他の知識と関連づけられ、長期記憶になります。 従って勉強する際は完徹するよりも、睡眠時間を取ってノンレム睡眠に 手伝わせる方が効率が良いとされています。 しかし深い眠り、すなわちノンレム睡眠ステージ3~4に達すると、脳波は だんだんとデルタ波と呼ばれるゆっくりした波に変化し、睡眠紡錘波は出なく なります。従って健康的かどうかはさておき、単純に記憶力の増強という点を 考えるのであれば深い眠りでは無くステージ2段階の浅い睡眠時間をより増やす 事が有利であると言えます。 そこで登場するのがベンゾジアゼピン型睡眠薬です。一般にベンゾジ型睡眠薬は 睡眠の各ステージ構造を変化させるため、自然な眠りとは異なると良く批判の 対象となっています。しかし、ベンゾジ型睡眠薬は程度の差こそあれ、どれも ステージ2の時間を増やすと言われており、記憶の構築には都合が良いのです! 紡錘波は視床ニューロンにおける抑制性シナプス後電位の増加によって発生する と言われており、GABA系に作用するベンゾジはこの電位を強化することにより 紡錘波の発現頻度を増加、すなわちステージ2を増やすとされています。 もちろん、ベンゾジは一般に前向性健忘という服用後の記憶が途切れる副作用が 発現する事があるので、ベンゾジ飲んだ後勉強するのは全くの逆効果です。注意! 数あるベンゾジの中からゾルピデムが名指しされたのは、一番売れてるから… という理由だけではおそらく無く、これが短時間型でありかつω1受容体 選択的であるからでしょう。 短時間型の方が良いのは分かりますね?どんだけ記憶力を増強したところで、 眠気がずっと残っていたら良いパフォーマンスを得られないのは明らかです。 ω1選択的が有利なのは…海馬のすぐ近くには扁桃核と呼ばれる部位が有り、 恐怖や不安といった感情を司っています。しかし扁桃核は同時に記憶の固定にも 関与しています。一般のベンゾジ薬はω1作動により鎮静を、ω2作動により 抗不安作用を示しますが、この抗不安作用は扁桃核の活動を抑制することにより 発現するため、同時に長期記憶形成を阻害する事を意味します。 ゾルピデムはこの点で、競合する短時間型睡眠薬であるベンゾジのハルシオンや、 非ベンゾジでもω1/ω2比の低いアモバンより記憶形成に有利であると言えます。 日本では発売されていませんが、ゾルピデムと似たような位置づけの睡眠薬に ザレプロン(ソナタ)が存在します。ゾルピデムより更に半減期が短いと言われる ザレプロンは、記憶固定という目的に対してより効果的であるかもしれません。 Z薬は睡眠を取るモノにあらず、S2強化によって記憶を強化するモノなのだ! ブレーキは車を止めるモノではなく、荷重移動で車を曲げるためのモノだ! と言われる位の衝撃的な発想の転換ですね。 この理論が正しいのかどうかはさておき(ヲイ)、単目的で作られた薬が別の方向に 応用されるというのは薬学の非常に面白いところだと思います。 抗生物質のクラリスロマイシンは既に多くの細菌に耐性を作られており、その 殺菌効果は今日あまり評価されていません。しかし細菌が病巣で作っている バイオフィルムを破壊する、いわゆる「布団を引っぺがす」という独特の作用を 持っており、今でも主要な治療薬として耳鼻科の第一線で使われています。 ゾルピデム・(エス)ゾピクロン・ザレプロンはZ薬の名で新世代の睡眠薬として 絶賛活躍中ですが、今後より効果的な睡眠薬が開発されたとしても、その記憶 強化能力を認められ、生活改善薬として生き残るかもしれませんね。 結局何が言いたいかというと…そなた、はよう売ってくりゃれ。 |